いきなりステーキは大丈夫なのか?【今後の展開と問題点を投資家目線で解説】

いきなりステーキを運営しているペッパーフードサービスは、これまで店舗拡大などを行い、好調な状況から一転して大赤字に転落したり、株価もピーク時は8200円あったのが756円まで下落しています。今回は、いきなりステーキを投資家目線で解説をしていこうと思います。

いきなりステーキについて

「いきなり!ステーキ」を2020年中に74店閉店する。

ペッパーフードサービスは主力の「いきなり!ステーキ」を2020年中に74店閉店する。26日に開催した決算説明会で明らかにした。出店計画は2店舗にとどまり、いきなり!の店舗数は減少に転じる。ここ数カ月は既存店売上高が前年と比べて3割以上落ち込んでいる。不採算店を整理し立て直しを図る考えだ。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO56100770W0A220C2TJ2000/
2020/02/27 日本経済新聞

このニュースは、ペッパーフードサービスが5日連続で下落し、大幅安となっている状況で、74店舗(FC26店、直営48店)を今後閉店していくと発表しました。

今後、新型コロナウイルスの感染拡大で外出を手控えるという逆風もあるため、売り上げの本格的な回復を確認できるまでは買いが手控えられる状況が続きそうだというニュースです。

これまでのいきなりステーキ
  • ペッパーフードサービスが運営(東証一部上場)
  • 手頃な値段でステーキが食べられるとブームに
  • 立ち食いの「いきなりステーキ」が話題に上がる
  • 肉マイレージなど、独自のポイント制度を行う

肉ブームの火付け役としてビジネスが当たった「いきなりステーキ」の売り上げは当初は好調に上がって行きその後、店舗をどんどんと増やす方向に走り売り上げは拡大してい来ました。

そして、さらに売り上げ拡大を計画した頃には、ライバル企業が乗り出してきていて「やっぱりステーキ」などの類似店も出てくるようになって行きました。

その後は、過当競争に陥り利益も激減していったと言う流れです。

この流れだけを見ると、飲食店などはお店を出しすぎると売り上げが落ち込んだときに経営が一気に難しくなると言うのは、今後、飲食店を経営している人には参考になるくらいの「参考に出来ない」モデルパターンのようにも感じます。

下記のデータがいきなりステーキの出店ペースになります。

2014年末・・・30店舗
2015年末・・・77店舗
2016年末・・・115店舗
2017年末・・・188店舗
2018年末・・・397店舗
2019年末・・・493店舗

2019年の末には、約500店舗にまで出店数が増えていて、これは不動産のミニミニと同じくらいの店舗数になります。こうなって来ると、いきなりステーキ同士が競合して売り上げを下げてしまっている状況で、2019年の12月には全店舗の売上も82%落ち込むなどの状態になっていました。



事業報告で不安要素が浮き彫りに!

その後、2019年の事業報告の中では、少しおかしい報告も目立ちました。以下の内容は、ペッパーフードサービスが12月の振り返りとして以下の内容を発表していました。

  • 112店舗の出店実績
  • オイスター販売を開始
  • 他企業とのコラボ
  • メニューの改定
  • 宅配サービスを開始
  • ネット通販の拡充
  • 社長の筆書きメッセージ発信

個人的には、これを見たときに、そもそもステーキ事業の売り上げが落ちているのに、そのステーキ事業の売り上げをどうやって回復させるのかが重要なのに、的外れな報告のようにも感じました。

なかなか売り上げ回復の目処が立っていなくて、カレーを始めたり牡蠣を始めたりと、そもそもステーキでブランディングをしたことすら忘れたのかと言わんばかりの迷走ぶりも行なっていましたからね。

今後、2020年の施策としてあげられていたのが、カニバリ状態(自社の共食い)を緩和するようにしていくといっていましたが遅い感じもします。

こう言うのは、マーケティングで出店するときに事前にデータを元に、念入りに調査をして出店計画を出すものなのですが、この間に示していたように凄い勢いで出店をしていたいきなりステーキは、このあたりの事前計画などが疎かになっていた可能性は極めて高いです。

社長の筆書きメッセージの「いきなり掲示板」と言うのを売り上げ対策として始めようとしているらしいのですが、ツイッターなどでも話題に上がっていました。

いきなりステーキの社長が自ら、お客様が来てくれないからお店が潰れそうだから、もっとお店に来てくれと言うメッセージなのですが、そもそも、お店を出店しすぎたせいなのにお客が来ないからと言うのもおかしな話だと話題に上がっていました。

この、社長メッセージを使って、売り上げ回復を見込むと言う、結構、トンチンカンな作戦を打ち出してくるなぁと思っていましたが、どうなるんでしょうか。

自己資本比率も2%と言うのも上場企業としては、かなり低い水準で債務超過に近い状態なので、このまま不調が続いて完全に債務超過とかになると上場停止とかになって資産がマイナスになって行きます。

ペッパーフードサービスは、2019年の12月に新株予約権を発行して69億円を調達すると発表していました。

この新株予約権というのは、いきなりステーキの経営が悪化してお金の融資が受けられないし、出資も厳しい状況なので、株を買う権利を上げますという感じで最大520万株発行してSMBC日興証券に割り当てることになりました。

その結果、69億円の資金調達を行なったとされているのですが、この調達した資金の使い方も個人的にはイマイチのように思います。

69億円の内、48億円を借金返済に充てて、14億円をブランド力向上のために広告宣言費に使うとのことでしたが、そもそも、広告を打てば問題が解決するのかっていう違和感を強く感じましたね。



いきなりステーキJCB使用不可に!

いきなりステーキというのは、直営店とFCの2種類に分かれていて、直営店が7割でFCが3割になります。

直営店の方はJCBカードの方は使えるのですが、FCに関してはFCオーナーの判断次第なのですが、この中でFCオーナーはJCBを使うことを決めていなかったのでJCBは元々使えなかったものがネットではカードが使えなくなったと話題になっていました。

なぜ、JCBの導入を断っていたのかは、カード決済を導入するにあたっては、カード決済のための初期費用とクレジットカードの決済手数料の2つの費用が店舗側の負担としてかかるために導入していませんでした。

普通、飲食店では利益率は低いとされていて10%出ていたらとても優秀とされていますが、その、10%の利益率に対してカード決済の手数料の3%を持っていかれるのが痛手だと判断したのでしょう。

ようするに、いきなりステーキのFC店舗オーナーからしたら、カード決済を導入してもしなくても集客にはそこまで影響はないと判断して導入しなかったということです。

しかし、直営店と同じ看板を出していたFCサイドの運営者が、JCBカードが使えませんと看板に記載するなどの対応していたのが消費者にとってイメージが悪かったと思います。

直営店しても企業としての生き残りが危ぶまれている状態のため、FC経営者に対して指導をしている余裕がないくらいに本店の方が危ないと状態とも見て取れます。

まとめ

今回の要点
  • 前年売り上げで70%割れている
  • 企業立て直しの方針が意味不明
  • 閉店させたくても資金がない
  • 資金調達をしても広告費に使う

下がるのをどこで止めることができるのかが問題になってくる

結構、いきなりステーキの社長さんもメデイアなどで、集客を呼びかけていましたが、株価は短期的には、話題性もあって感情で動く部分もありますが、長期的に見たら投資というのは論理で動くケースがほとんどなので、明確な打開策が打ち出せない厳しいということになるでしょう

今後、注目なのは、このまま売り上げの回復が見込めずに下がり続ける状態が続くとなると、他の企業から買収される話なんかも出てくるでしょうね。

そうならないように、知名度は十分にあると思うので、そこを活かして売り上げの立て直しを図っていってもらいたいと思います。

今回は、いきなりステーキの売り上げ低迷について、投資目線で解説してみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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Koga Kenマーケティングプランナー
商品開発・動画制作・企画営業などマーケティング全般の仕事に携わってきました。現在は、企業のHP制作・動画制作・商品開発などのマーケティング業務を請け負いながら、海外輸入のECサイトの運営や「ひとりで稼ぐ力」をテーマに投資、副業などの資産形成に関する活動を展開。