今回ご紹介して要約するのは、10万円部突破のベストセラー鬼速PDCAです。業務改善しても成果が出ないと嘆くビジネスパーソンに向けた新しいPDCAサイクルの使い方を要約していきます。
Contents
鬼速PDCAのポイント
著者の冨田和成氏は野村證券で数々の営業記録を樹立して、最年少記録を出し続けた人物です。
本書の要点のポイントは以下の5つです。
- :PDCAにおける計画の重要性
- :PDCAが格段に上手くなること
- :実行フェーズは具体的な計画が重要
- :鬼速検証は客観的視点での分析が必要
鬼速PDCAの著書は、下記の方に特におすすめです。
- PDCAのスキルを身に着けたい方
- 自分の問題解決能力を向上させたい方
- 部下に問題解決能力を身に付けさせたい方
あらゆるビジネスシーンにおいて、もはや標準装備とされるくらい当たり前となってしまったPDCAですが、ビジネス環境が変わりやすい時代において、とても有効に働くという観点から、今、このPDCAこそが最強のビジネススキルという形で注目が集まっています。
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Adjust(調整)を繰り返すことによって、生産管理や品質管理などの管理業務を改善していくビジネス手法になります。
Plan(計画)
経営方針や獲得するゴールを設定することを目的とする
Do(実行)
複数のアクションに分解して、具体的なタスクレベルに落とし込む
Check(検証)
こまめに検証を行い、実行サイクルの「無駄打ち」を減らす
Adjust(調整)
次のサイクルに渡す「調整案」を考える。
本書のタイトルである鬼速 PDCA では、PDCAを「前進を続けるためのフレームワーク」と定義しており、そのPDCAサイクルを高速で回転させ、より早く前進し続けるという考え方になります。
やることの優先度を変えたり、方法をブラッシュアップしたり、時には「目指すべき山」自体を変えることもあります。
本書の中では、これまでの様々なPDCAの書籍とは異なる点は「計画」の大切さが強調されているところです。
他のPDCA著書との違い
これまでも色々な問題解決の本を読みましたが、計画について大切に書かれている本はあまりなかったと思います。
それくらい、計画について詳細に記載されていました。
最初の計画の設計が疎かになれば、行動も適当になり、改善するときも計画の方針から改善されないので効率が悪くなるという考え方です。
これまでのPDCAでは「C」の検証が難しいと思われがちだったが、実は、失敗の多くは「計画の段階」にある。
本書の中では「PDCAの5割は計画で決まる」という形で最初の計画が肝心であるということが書かれています。
「C」の検証チェックの段階が難しくなってしまうのは、振り返るべく「計画」が大雑把すぎて検証が出来ない状況にあるということです。
本書から読み取れる「計画」を作る上でのポイントを整理してみると以下の3点に要約することが出来ると思います。
- 初めの「計画」段階でゴール目的地を設定すること
- 「なぜ、そのゴールを目指すのか」動機付けを行う
- ゴールした時に得られる具体的な成果を知る
1の項目で上げたゴールまでの計画を設定したら、自問自答を行い計画を検証します。
「もっと効率的なやり方はあるか?」
「他に優先してやるべきことはないか?」
「見落としているテーマや課題はないか?」
これらの観点で計画を検証することが重要とされています。
Plan(計画)について
本書でいう「計画」とはゴールありきです。
この到達するゴール(KGI)を決めるときに、注意しなければならないことが次の三点です。
- 期日を決める
- 定量化する
- 具体的にする
①期日を決める
期日が決まるとそれを実現するための戦略を決めることができます。
さらに危機感も生まれ、間に合わせようという緊張感が生まれ、時間内でタスクを終了させようという意識が生まれます。
いつかやろうなど期日を決めないと実現するための戦略を立てられなくなります
②KPIを定量化する
課題が絞り込まれたら、次はそれらの課題を数値化していきます。
KPIとは、Key Performance Indicatorのことを指しており、獲得したい結果目標のことです。
KPIを定量化するポイントとして、KPIの設定を数値で振り返ることができる方が、課題が解決ができたかどうかの判断をしやすくなるため望ましいとされています。
③具体的にする
課題を数値化したら、その課題を実行に移した際に得られる成果を具体的にしておきます。
そこで得られる成果そのものが、自分が手にしたいと判断するものである場合は、PLANの組み立てを考え直しても良いと思います。
計画を立案したら、その計画について納得がいくまで検証を繰り返すことで、そのあとに行う「実行・検証・行動」の効率化に繋がります。
Do(実行)について
計画(目標)設定したらマインドマップで分解
著者の冨田和成氏が経営する会社では、計画(目標)を設定したらマインドマップで分解して具体的な行動になるまで落とし込む作業を行っているそうです。
計画を設定したら要素に分解して細分化する作業は、マンダラチャートの思考法に似ています。
マンダラチャートの思考法は、少し前にTV番組のジャンクスポーツで大谷翔平選手が学生時代に実行していたチャートとして取り上げられていました。
下記のように大きな目標を細分化してさらに細分化して書いていきます。
抽象的なアクションを「毎⽇、朝6時に起きて5キロ⾛る」「今⽇、⼣⾷後の2時間を使ってネットで検索する」といった具体的なタスクとしてスケジュールを押さえてしまえば、もはややらざるを得ない状況に⾃分を追い込むことができる。加えて、やることが具体的だと、取り組む意欲が増すという⼤きな効果もある。
引用:鬼速PDCAより
また、本書の中では、計画の段階で具体化することで「実行フェーズに落とし込むことができる」と書かれています。
この部分を読んで、感じたことは以前に読んだ「5W1H」である「いつ(When)」「どこで(Where)」「だれが(Who)」「なにを(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」
これらの「5W1H」を基準にして計画をより具体的にすることができるでしょう。「5W1H」の考え方については、過去に要約した記事があるので気になる方は参考にしてみてください。
Check(検証)について
Do(施策)が決定したら、KDI(行動指標)として数値化していきます。つまり、どのくらいまで実行するのかを数値的な基準を決めましょうということです。
また、いつまでに実行するのかの「期限」を設定する
ことで、1日1日でどのくらいの行動量が必要とされるのかまで、行動計画に落とし込むことができます。
要因分析の基本は「なぜ」の繰り返しによる課題の整理である。「もしかして要因はここかな」と思えるまで「なぜ」を繰り返すのだ
引用:鬼速PDCA
これらの作業をタイムマネジメントと呼ぶのですが、この時間管理を効率的に行うには、行動内容を入れ替えたり、時間を短縮する工夫、実行しない作業を捨てるなどの作業の取捨選択が重要になります。
また、本書であげられるPDCAの「C」検証チェックに関しては、トヨタ式の改善でも有名な「なぜ」の繰り返しであると本書でも分析の基本として上げられています。
これらの「なぜ」のプロセスを経て、具体的な行動に分解して動きにまで落とし込むことが出来たら実行していきます。
その後は、小まめにチェック検証を行い、実行サイクルの無駄を減らしていきます。
PDCAを鬼速で回し続けることで、組織と個人が圧倒的なスピードで成果を出すことができるのです。
Adjust(調整)について
最後の A は一般的にはアクションですが、本書ではアジャストと呼んでおり、次のサイクルに渡す調整案を考えます。
この調整の過程においては、やることの優先度を変更したり、方法をブラッシュアップしたり、時には目指すべき目的そのもの自体を変更することもあります。
大切なことは、PDCAを止めずに回し続けるということです。
計画を立てて実行して、うまくいかなかったらその原因を必死に考えて、結論が出なくても仮説を出して思考を止めないということ。
思考が止まりそうなときは「なぜ」か「どうやって」を自分に問いながら、PDCAを回し続けるための調整をしていくことがAdjustのポイントです。
まとめ
本書の読んでみた感じいうと、KPIの数値化に対する考え方はわかりやすく、当たり前かもしれないが、数値化しにくい目標に指標を立てる方法論が役に立つと感じました。
特に現代は、スピードを重視しながら一定のクオリティを追求する仕事に重きが置かれているので、既存のPDCAだとスピード感が足りないように感じていた部分が、計画5割という観点からPDCAを回し続けると、PDCAを停止させることが無くなると思いました。
今回の要約では、その全てをお伝え出来ているわけではありません。
ポイントだけを個人的な観点でまとめたものなので、気になる方は、直接、本書を手にしてみることをおすすめします。