新生銀行系列のクレジットカード信販会社であるアプラスが「ずさん融資」を行ったとして問題視されています。今回は、「ずさん融資」に関する解説と、今後の金融機関について投資家の目線で見た見解を上げていきたいと思います。
アプラスの「ずさん融資」について
住宅ローン融資会社アルヒが提供する「アプラス投資用マンションローン」において、融資を担当するアプラスが本来の融資手続きから逸脱し、物件価格が担保評価を大きく上回る場合でも、高金利の商品を組み合わせて満額融資を実行していたことが東洋経済の取材でわかった。
- 水増しされた物件価格に対して満額融資
- 差額を追加で借り入れる商品を付けて満額融資
- 顧客が内容をまったく理解しない中で融資が実行
このずさん融資の流れを簡単にいうと、3000万の評価額の土地とかがあったとして、通常、銀行は評価額を超える融資と言うのはしないものなのですが、評価額を超える3500万円という感じの評価額を上回る形で融資が行われたということです。
不足の500万円には、何か無理やり高額な商品をセットにして「土地+商品」という形で3500万円の書類を作成して融資が行われたという感じです。
では、なぜ、銀行がそのようなことをおこなったのでしょう。
元々、アプラスはオートローンなどの個品割賦ビジネスがメインで行っていましたが、そのビジネスも今では縮小し、クレジットカードビジネスも大手に勝てない中で、今回のような「無謀な融資」を行ってしまうことになりました。
基本的に銀行と言うのはお金を貸して儲かる商売であり、預金で儲かる商売ではありません。
銀行としては、預金をたくさんしてもらっても全然儲かりません。たくさん預金してもらったお金を貸して、その利子が一番の売上げになるため融資をしないと儲かりません。
融資する場合でも、少ない金額を貸し付けるよりも、大きい金額を貸し付けることが出来た方が儲かるために大きい金額を貸したいのです。
今回の件をカンタンに言うと「借りたい人がいないから」になります。
それこそ、1991年のバブル時期の頃は、ほぼ多くの日本人は「マイホームローン」という借金をしていましたが、今の時代でいうと「借金=悪」というイメージが根付いている感じさえあります。
例えば、30歳になったサラリーマンがマイホームを持ちましょう。となって、多くの人達がマイホームを購入する時に借金をして家を購入していました。
その当時は、家を持って「一家の主になる」的な、ある種の世間的な風潮や流れ的なものがあって、疑う事もなく皆がそうしていたのもあると思います。
言い方はマイホームと言っても「本質的には不動産投資」です。自分の家族のために銀行からお金を借りて3000万とかの「不動産に投資」をしているということなのです。
しかし、最近の流れというのは、多くの人が家を買わない人が増えてきて「35年のローン」を組むとかも少なくなりました。
マイホームが多く売れていた1980年から1990年にかけての銀行の金利というのは、10%を超えていましたが、今は3%位になっています。
昔の人は、金利が10%上がっても皆がお金を借りて35年ローンで家をかっていたのです。それが、今は、金利を下げているけれども、借り手がいない状況が続いています。
日本には、家計だけで990兆円の預金があり、企業でも300兆円の預金があると言われており、借金をしてくれる人がいない状況にあります。
結果的に、今回のアプラスのように「ずさん融資」として、評価額を超えて多めに融資しようという形になってしまったということです。
今後の金融機関の流れ
今後の金融機関の流れはどうなのか。
やはり、金融機関というのは投資案件としては、成長が難しいという認識を持っています。
常にモノの価値というは、需要と供給から生まれて「希少性」が高いものは、どうしても価値が高くなります。
世の中に空気はたくさんありますが、空気は重要だけでお金を払う人はいません。それは、空気には希少性がないからで、お金も本誌的には空気と同じような価値に近づいていると言えます。
お金を所有している所が偏っているだけで、実質的には、お金は余っている状態になっていて「無理してまでお金借りたいと思わない」という人が増加したということです。
ひと昔前は、銀行と言うと超優良企業で「入社出来たら安泰」とされてきた時代から、銀行のビジネスモデルも見直さないと生き残っていけない状態にあるのは事実です。
とくに、地方銀行や信販会社などは、リスクある人(貸し倒れする人)には貸したくないけど、優良客は「お金を借りてくれない」という実態はしばらく続きそうです。
個人的には、銀行の中でも人が査定して融資をするから問題が発生するのもあると思います。
結局、今の融資の審査というのは、物件担保評価と返済能力を計るだけなので、AIやアルゴリズムを使えば問題が起きにくくは出来ると思います。
人の場合、自分自身の評価などのインセンティブも含まれるため、結果的に現場で不正なことをする問題が起きるのです。機械に任せたらそれがないので安心ですからね。
今後は、銀行融資にAIやアルゴリズムが積極的に採用されていくと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。