2019年に早期・希望退職を実施した上場企業が、東京商工リサーチによると35社で、その対象者は1万1351人に達していることがわかりました。業績が好調であってもリストラに踏み切る背景と、黒字リストラに向けた3つのポイントをご紹介します。
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黒字リストラとは何か
1月13日の日経新聞に以下のような記事がありました。
「黒字リストラ」拡大 昨年9100人、デジタル化に先手 早期退職で人員見直し
好業績下で人員削減策を打ち出す企業が増えている。2019年に早期・希望退職(総合・経済面きょうのことば)を実施した上場企業35社のうち、最終損益が黒字だった企業が約6割を占めた。
2020/1/13 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54332430S0A110C2MM8000/
東京商工リサーチが出したデータをグラフ化すると以下のようになります。
最終損益が黒字であった企業は約6割を占めましたが、企業側は人員数を削減する方向で早期退職者などを募り2018年の約3倍となる9千人超の人が会社を辞めることとなりました。
特に積極的に「黒字リストラ」を実施している業界が製薬会社になります。
・アステラス製薬で700人の早期退職
・鳥居製薬で281人の早期退職
・中外製薬で172人の早期退職
中外製薬に関しては、18年12月期に過去最高を上げていましたが、19年に45歳以上の早期退職者を募り172人が応募しました。
アステラス製薬に関しても19年に純利益が35%増加しましたが約700人が早期退職しました。
黒字リストラの理由
黒字リストラを企業が行う背景には、社会で若い人材が減ってきている中で、会社組織の中で中核を担う人たちに対して適正な処遇をしないと若者を採用することができないのもあります。
昨今の技術革新も早くて、年を重ねたベテラン社員を再教育していても、なかなか世の中の新しい技術に追いつくことが出来ない実情もあります。
従って、ベテラン社員で技術革新について行けない人には早期リストラで退職してもらい、若い人の配分を多くして人材の新陳代謝という狙いがあります。
もう1つの理由としては、国も70歳まで働く社会にしようと考えていて、組織の人件費の膨張が起こって行くことが想定できます。
会社としても、そこまで多くの人件費を確保し続けることが容易ではありませんので、賃金を下げる方向か、人を削減するかの選択をしたと言えます。
そういう意味では、ベテラン社員と言われる中でも、40代の社員とかだと、まだ転職ができる年齢でもあるので、人件費が高くて技術革新について行けない人には早めにセカンドキャリアへ移行してもらおうというのが経営者たちの思惑だと思います。
黒字リストラへの3つの備え
今は、製薬会社が先行して「黒字リストラ」を行っていますが、今後、他業種に広がっていくのは必然ではないでしょうか。そんな「大リストラ」時代に向けて、個人が何を備えておくことが大切なのかを3つ紹介したいと思います。
人のネットワークを構築する
今は、人生100年時代と言われており、この「人生100年をどう生き抜くか」というのは、各、個人が抱える大切なテーマでもあります。
その中でも、今の会社とは異なる「社外ネットワークの構築」が重要になってきます。
それは、会社の人間関係というのは、会社を辞めてしまうと連絡を取り合うことは殆ど無くなつてしまいます。仕事で会社外の得意先とかで構築した人間関係であっても、その人達が会社の「看板」が無くても関係性が保てるかと言うと、難しい場合が多いです。
それよりも、自分の趣味や副業でも良いと思います。
自分自身を起点にした人間関係のネットワークを持つことは重要だと思います。
自分のビジネスを持つ
会社員(サラリーマン)は収入が会社に左右されてしまいます。会社に依存した大人になってしまうと本質的に自立した形でお金を稼ぐことが出来ません。
会社に依存しないためには、会社との関係を減らし、会社に関わらなくても自分で稼げるようにすることが大切です。
そのためには、自分自身のビジネス(収入を得る手段)を持つことが大切です。それは、YouTubeやブログでも良いと思います。
これらのビジネスは、いざとなった時の自分自身の地盤になって、貴方自身に価値を見出してくれるものになるため大切です。
お金の使い方を覚える
お金の使い方と言うのは株や預金などで「資産運用」をすると言うのも一つですが、ここで言いたいのは「節約」というのがポイントになります。
仮にリストラを迎えた時に、一番心配になるのが「お金」のことです。
そのお金の使い方が、収入があった時と同じように、浪費していては不安が募るばかりです。
今の内に、固定費の見直しをしたり外食ではなく自炊が出来るようになっておくことなどは重要です。要は、「自分で出来ることは自分で出来るようにする」と言うことです。
まとめ
今回は、黒字リストラの時代に向けた個人で備えられる3つのポイントとして、「人のネットワークを構築する」「自分のビジネスを持つ」「お金の使い方を覚える」という観点でお伝えしました。
今後、黒字リストラなどが進んでいくと、会社側が求める人材も以下のように変わってきます。
- 上司の使い勝手の良い人材で、指示待ち人間
- 時代遅れに気づかずに変わろうとしない人間
- 会社依存でスキルアップや自己研鑽しない人間
- 自分の意見を持っていて主体的に動く人間
- 世の中の技術革新に柔軟に対応できる人間
- 会社に依存せずに自立した仕事が出来る人間
とは言っても、会社の中で主体的に動いて仕事をする人間って言うのは、ウザったく思われるのも世の中でよくあることです。
まずは、会社で必要以上に時間を浪費せずに、「無駄な残業をしない」「無意味な人間付き合い」を止めることからやってみては良いと思います。
貴方の大切な時間が不毛なことで浪費されることを止めることからでも良いのでやってみてはいかがでしょうか。しかし、会社での立場を悪くしない範囲で、バランス良く自分の時間を確保するようにしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
業績が好調であっても将来のリスクなどを見越して人員削減に踏み切ること