Facebookの暗号通貨リブラ(libra)の今後を考察【2020年には始動するのか?】

アメリカFacebookが暗号資産(暗号通貨)リブラの発行を計画してから半年が経過しました。現在、各国はリブラの構想に対して拒否反応を示していますが、裏を返せばリブラがそれだけ精度を高く設計されているとも言えます。今回は、今後のリブラについて考えてしていこうと思います。

リブラについてざっくり解説

通常、暗号資産という呼び方をしますが、Facebookは「リブラはデジタル通貨だ」という言い方をしています。

要は、「お金」だということです。

日本円では1libra=100円~120円ほどの価値でやりとりされるとFacebookの公式ホームページでは表記されています。

リブラは「libra」という通貨単位でやり取りされ、円やドルと同様に、今の電子マネーのように使われることになり、スマホを使ってボタン1つでお金を海外に送金する手段としても注目されています。

通常、銀行を経由して国際送金が行われる際、手数料がかかり1万円の送金に対して平均で7%ほどの費用が掛かるとされています。

1万円の送金しようとすると700円ほどの手数料が掛かります。それがリブラだと、事実上の手数料がタダになるとFacebookは言っています。

当然、既存の銀行などは、マネーロンダリング対策とか、安全にお金を送金するために、インフラ整備にお金を掛けていましたが、安全かつ送金手数料も安く出来ると言うことでリブラは注目されています。

そういう意味では、リブラは仮想通貨業界を先行したビットコインを上手く教訓化しており、中央銀行のビジネスモデルを活用して、ビットコインの欠点を修正されていると言えるでしょう。

リブラがよくできた仕組みと言われる理由

リブラのポイント

・リブラ協会の中央集権で価格が安定する仕組み

・ビットコインとは異なるマイニング方式

・複数通貨のバスケットで価値を固定化する

リブラ協会の中央集権で価格が安定する仕組み

ビットコイン自体は、価格の変動(ボラティリティー)が大きくて、投機の対象として扱われることが多いですが、リブラはこれまでのビットコインとは異なる性質であるとされています。

そもそも、ビットコインの価格変動が大きい要因は、ビットコインは分散型であって中央の管理主体が存在しないため、意見の対立や分裂問題が発生してもスムーズに解決することが出来ずに不安定な状態になります。

中央集権ではないため、資産を裏付けるものを持たないため、いかなる通貨にも価格が連動されていないのです。またビットコインは「4年ごとに発行量を半分にする」という「半減期」というルールが設定されています。このルールが投機的な要素をあおり結果となって、価格の乱高下を招いているとも言われています。

しかし、リブラは管理主体としてスイスに「リブラ協会」を設立し、スイスの金融当局が「リブラ協会」を監督する仕組みになっています。

リブラは「需要に応じた供給としてリブラを発行」するため、柔軟に発行することが方針化されており、価格が安定することになります。

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ビットコインとは異なるマイニング方式

取引の承認方法についても、ビットコインでは「プルーフ・オブ・ワーク」が採用されていて、世界中のマイナー(計算者)が競争する仕組みが採用されています。

そのためマイニング処理に電気的な負担が大きくかかり、取引承認までに10分の時間を要して取引量にも限界があります。

その点、リブラが承認する仕組みは、リブラ協会のメンバーを協力者として承認者を限定するため、電力大量消費の問題も軽減することができ、より多くの取引をスムーズに承認することを可能にしています。

複数通貨のバスケットで価値を固定化する

リブラは、中央銀行のビジネスモデルも多く取り入れています。

裏付け資産を100%持つとしている点については「カレンシーボード制」(国内に流通する自国通貨に見合った分のドルを中央銀行が保有するという制度)を参考にしていると言えます。

香港では、銀行券を発行する際、発行する相当額の米ドルを「香港金融管理局」に資金を預けることになっており、そのため自国の通貨は米ドルによって、バックアップされて価値がある程度一定に保たれます。

これに対して、リブラは「リブラ・リザーブ」と呼ばれる各国通貨の資産からなる100%の準備資産を確保し、複数通貨のバスケットに価値を固定化(ペッグ)しています。

このようにリブラは、支払い手段として使われることを最優先にした設計になっていると言えます。

価値を複数通貨でバスケットして価値を固定化する点においては、シンガポールの「バスケット通貨制」自国の通貨を複数の外貨に連動したレートにする固定相場制などと似ています。

リブラは米ドル50%、ユーロ18%、円14%、英ポンド11%、シンガポールドル7%という5通貨をメインにバスケットを構成して準備金が用意される仕組みになります。

リブラが各国に嫌われる理由

リブラ協会の収益モデルに関しても、リブラは中央銀行から学んでいます。中央銀行は銀行券を発行することにより「シニョレッジ」(通貨発行益)を得ます。

リブラと交換するために、世界中から集まったそのお金は、そのまま放置していても勿体ないということで資産運用されることになっています。そして、その運用から出た儲けが協会メンバーに分配される仕組みになっています。

そのため協会に入るには、とてもお金が必要と言われており、創立メンバーとして参加するには1000万ドル(10億円相当)が必要とされています。

これらの通貨発行益を得るということも含め、2019年の7月17日に開催された主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、リブラに対し「規制が必要」との認識で一致しています。

ここまでリブラが嫌がられる理由はただ一つとされていて、「シニョレッジ」(通貨発行益)という各国が持つ中央銀行の最大特権を脅かす存在として見ているからです。

Facebookは、サービスを開始する2020年の前半には100社に増やしたいと目標を掲げていましたが、どうのように動くのか注目されるところです。

このように、これまでのビットコインなどの暗号通貨を元に考え抜かれた仕組みと、Facebookが抱える27億人のユーザーがいれば、リブラが導入された場合、一気に利用者が拡大する可能性があると言われています。

そのため、各国の当局としては、「このままの形で、発行することは阻止したい」というのが本音の考えだということです。

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リブラの今後について

リブラ協会は、スイスに本部に設立されましたが、バスケット通貨に含まれる米ドル、ポンド、ユーロ、日本円なども監督に関与を求めてくると思います。

今後、リブラの実現に向けては、ザッカーバーグがアメリカ議会で「当局の承認を得なければ始動しない」という立場を取っている以上、見切り発車でリブラ発行を始めることもできません。

当局との交渉に関して言えば、まだまだ時間を要することが予想されているため、恐らく、当初予定していた2020年の前半の開始は難しそうです。

リブラ協会でも、参加予定だった28社のうち、ビザ、マスターカード、ペイパルなど世界有数の決済組織である7社が脱落することになりました。

今後も当局が厳しい立場でリブラ発行へ堅持し、脱落する企業が増え続ければ、リブラ・プロジェクトそのものが頓挫する可能性も考えられます。

デジタル通貨によって、世界中で支払いや送金がと出来るシステムが実現するまでには、技術的なことよりも各国での通貨発行の権利の主張を上手く調整しないと相当難しい感じも受けると見ておいたほうがよさそうですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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