コロナ禍の新生活様式から考えるコミュニティビジネスの在り方

Withコロナという言葉も日常化してきて、ソーシャルディスタンスなどの新しい生活様式から一人で仕事をすることも増えました。人との関わりが希薄になることで孤独を感じる人も増えてくると言われています。今回は、そんな孤立を解消するサービスからビジネスのヒントに繋がるポイントをご紹介します。

孤独は健康に悪影響を与える

社会的な孤立を解消することは、健康面のリスクを軽減するということが医学的にも実証されています。

東京都健康長寿医療センター研究所の発表では、健康な高齢者の中で、引きこもりの傾向(外出1日1回未満)の人たちを4つのグループ分けて、長期的な生存率を調べた研究がありました。

その結果、孤立+閉じこもり傾向のグループ(A)は、非孤立+非閉じこもりのグループ(D)よりも、6年後の死亡率が2.2倍高くなり、孤立か閉じこもり、どちらか一方のグループ(BとC)と比較しても、死亡率が高くなることが判明しました。

「ひきこもり」そのものが、健康を害する直接的な要因だとは言いませんが、孤立×ひきこもりの両方が生活習慣として長期に蓄積していくと、健康問題に何かしらの影響を与えることは研究でも結論付けられました。

高齢期の社会的孤立と閉じこもり傾向による死亡リスク約2倍

出典:東京都健康長寿医療センター

コロナ禍で社会的孤立者が増えてくる

コロナ禍を契機に浸透しつつあるソーシャルディスタンスですが、距離を2メートル空けて人と接して人と接するのは、結構大変になっていき今後、孤立や孤独に陥る人が増えていくことも懸念されています。

社会的な孤立が社会問題になっていることは、以前からも問題としてありましたが、コロナ後は、より一層、人とのコミュニケーションが希薄になって、孤立する人への配慮や対策が必要になると考えられます。

社会的な孤立者(ひきこもり)に該当する人達は、2015年に15歳~39歳を対象とした場合、内閣府の調査で69.6万人に存在するという調査結果も出ています。

2019年には、40歳~64歳の中高年者を対象にした調査でも61.3万人が、ひきこもりとしての条件に該当する調査結果が出ています。

これらの背景には、就職がうまくいかなかったとか、職場に馴染めなかったとか、何かしらの失敗を契機に「ひきこもり」に陥ってしまうことがほとんどのようです。

そんな中、コロナ禍の影響で、在宅勤務が増えて「自宅へのひきこもる人」が増えたことから、孤立した生活の中でも、孤独を癒やしたり、メンタルを健全に保つための支援サービスが必要になってきます。

孤立を解消するサービスについて

社会的な孤立を解消するための支援サービスとしては、ビデオチャットでのカウンセリングを行う事業などが行われていたりします。

電話、メール、ビデオチャットなどで、直接会わずにコミュニケーションを取ることで、一定の効果はあるようですが「ひきこもり」の生活スタイルを根本から改善していくには、人との直接的な接触が効果的で、イベントなどを開催して外出する機会を増やすことで良い効果を得ることができます。

社会的な孤立の解消は、趣味的な感じでサークルや地域コミュニティを運営して、これらのサービスに係ることで友人や仲間を作ったりする取っ掛かりになるものです。

比較的、若い人で孤立している人などは「支援される立場」ではなく自分自身が「誰かを支援する立場」に回ることで、他人から認められたいという「承認欲求」を満たすことができたり、何かに属すことで社会的欲求を満たすことも出来るため、ボランティアや社会貢献をするためのチーム作りなども効果的です。

ウォーキング・コミュニティの可能性

今や、社会的な孤立者の支援は、世界共通のテーマとして問題意識が取り扱われるようになっていて、英国では、65歳以上の人が1,080万人中、380万人が一人暮らしとされています。

その380万人の内、140万人(36.8%)の高齢者が孤独感を慢性的に感じているようで、家族、友人、近所での交流をしていないようです。(AGE UK支援活動調べ)

これらの孤立した高齢者を支援する目的で大手の保険会社が「Walking Friends」 というウォーキンググループのコミュニティを運営して、2019年11月から開始されています。

このウォーキンググループでは、保険会社の社員を中心とした人間が、ウォーキングの専門講習を受けて、ウォーキング・リーダーとなって、地域の高齢者を募って定期的にウォーキングイベントを開催します。

Walking Friends活動の紹介動画

高齢者としては、ウォーキングに参加することで、自然に運動量を増やせる効果もあり、参加者同士のコミュニティも生まれます。

ウォーキングの後は、近くのカフェで休憩をして利用することで、孤立していた高齢者にとっては「新しいお店を知る」切っ掛けにもなり、地域や商店街にも貢献することができます。

一方、ウォーキング・リーダーとなる人間も、運動不足の解消に繋がり、コロナ禍でリモートワークが増えた昨今、自分自身の孤立化を防ぐことにも繋がります。

このビジネスを保険会社が立ち上げているのは、ウォーキング活動を行いながら、高齢者の保健加入に向けた見込客を増やせるという思惑もあります。

このように、参加者の間口を広げて誰でも参加しやすいコミュニティを作る場合、大切なポイントとしては以下の3点です。

コミュニティ作りのポイント
  • ウォーキングのように身近なものであること
  • 誰でも参加できるようにコストが掛からないこと
  • 定期的な開催が出来るテーマであること

この3つのポイントを抑えることが大切です。

まとめ

日本でも、1人暮らしの割合は2010年には3割を超して、2040年までに4割を超すという予測も出ています。

そこに、コロナの感染症へのリスクとワークスタイルの変化から、自宅にひきこもる人の数は増えていくことになり、人間関係は希薄になっていきます。

保険会社が見込み客を増やすためのウォーキングフレンドを参考にして、ハイキングや掃除ボランティアなどもウォーキングコミュニティに近い効果を得ることが出来ると思います。

孤立と孤独を抱えている人達に向けた対策サービスは、感染症に強い都市の再開発と連動して、潜在的な需要が大きくなっているので、ビジネス起業のヒントにしてみても良いのではないでしょうか。

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