Amazonレビューのからくりを解説【今後の口コミ評価のあり方について】

AmazonなどのECサイトで商品を購入する機会が増えた昨今、その商品を購入するかどうかの意思決定を大きく左右してくるのが「レビュー(口コミ)」になります。今回は、マーケティングの視点からAmazonレビューのからくりと、これからのECサイトのレビュービジネスを解説します。

Amazonレビューの真実

ノースウェスタン大学のシュピーゲル研究センターが発表したレポートでは、商品を購入検討している95%のユーザーは、レビューや口コミを参考にしており、レビューが掲載されている商品に関しては、レビューが無い商品と比べると購入割合コンバージョンが270%も高くなるという研究結果があります。

↓↓↓シュピーゲル研究センターの参考資料↓↓↓
https://spiegel.medill.northwestern.edu/online-reviews/

それだけ現代の消費者は、新しい商品や高額の商品やサービスを手にする時には、売り手の広告内容よりも、ユーザーレビュー(口コミ)を参考にして商品購入の意思決定をしている傾向が堅調に出ているということです。

米国のAmazonに至っては、商品を購入する時に表示されるレビューの中には、全体の6割以上が有償の報酬を得て投稿されているレビューだと言われています。

大量に高評価のレビューをつけることで、他社よりも良い製品であるということを認識させて、購買意欲を掻き立てる手法は、ここ数年で、すっかり定着しています。

その仕組みの構図は以下の通りです。

※米国Amazonレビューシステムの仕組み

売る側としては、レビュー件数を増やしたい場合、無料で商品を送付して高評価のレビューを投稿してもらうわけです。

また、レビュアーが商品を購入した後、星5のレビューを投稿した場合に、PayPal経由で商品代金を返金するような仕組みが確立してあります。

この仕組みの問題点としては、当然、商品を購入して星5つでレビューを投稿する訳なので、実態とはかけ離れたレビューになることは明白です。

購入を検討しているお客は商品の本質的な本音のレビューを見たいと思っている訳ですから意味がありません。

ただ、このシステムというのが厄介なのは、レビュー自体は実際に商品を使っているということです。これが、本当に商品を使っていなくてレビューそのものが捏造されたものであったのであれば、問答無用で非難されるべきなのですが、完全に偽レビューとは言えないところにあります。



今後のECサイトのレビュービジネス

これら、実態とかけ離れたレビューをユーザーが求めているわけではなく、ガチの口コミ(その商品の忖度抜きの評価)を求めているわけです。

そういう意味で言えば、これからのECサイトのレビューのあり方や仕組みはもっと、本質的なレビューが問われるECサイトが重宝されてくるでしょう。

既に「Petco(ペトコ)」という米国の大手ペットショップを運営するECサイトでは、Amazonとは異なるレビューシステムを採用しています。

それが、以下のような販売店が直接対応するQ&A方式のレビューです。

※米国Bazaarvoice(バザーボイス)のレビューシステム

このように、レビューを中間で管理する「Bazaarvoice」というプラットフォーム企業が、登場したことで、レビューに記載されている内容の信憑性を高めて顧客が安心して購入する仕組みを実施しています。

そういう意味では、これからの時代は、レビューの量だけではなく誰がレビューしているのか・・・どこが、そのレビュー内容の信憑を担保しているのかという質が問われる時代になります。

何故、質の高いレビューが重要なのか

今後、ECサイトではどれだけ質の高いレビューを消費者に届けることが出来るのかは大きな課題となってくると思います。

それだけ、ECサイトのレビューからの消費者の購買特性を押さえることは、マーケティングとしても非常に重要とされています。

レビューを重要視する理由
  • 商品購入者の90%以上がユーザーレビューを参考にして商品を購入する。
  • F1層(20代~34歳の女性)の消費者ほどレビューを意識する傾向がある。
  • 低価格の商品より高級商品の購入時の方がレビューを参考にする。
  • 実店舗の販売でもネットのレビューを参考にして買い物をしている。
  • レビューの内容がSNSで拡散されると売上げ効果が高くなる。
  • 否定的なレビューは拡散されやすく炎上商法として成立しやすい。

いくつか上げたこれらの理由で、ECサイトの売上げだけでなく、実店舗の売れ行きも変わるということがマーケティング的にデータとしても実証されているのです。

まとめ

常に消費者は物を購入するときでも、高く買って損をしたくないや、失敗したくないという心理が働いてレビューや口コミを重要視する傾向があります。

だからこそ、本当に良いものは「良い」悪いものは「悪い」という正直な意見を手にしたいと思っているのです。

最近は、アマゾンだけなく食べログの口コミなどでも「偽レビュー」に対する規制を強化しているらしいですが、これらの仕組みは、実際に商品を購入したユーザーがレビューを投稿している以上、すべてを取り締まれないのが実情でもあるようです。

そういう意味では、店舗としてもレビューをしてくれる顧客を優良顧客として位置付けて、レビューをしてくれる顧客を大切に扱い、そして、レビューを投稿できるユーザーはレビューを投稿できること自体が特別な存在であるというVIP待遇を受けることの特別感を得る事ができます。

※今後、増えてくる優良顧客レビューの仕組み

商品を売る業者にとって、高評価のレビューは売上に直結するとても価値があります。その数を増やしていくことが、今後のマーケティング戦略として非常に重要になります。

だから、高評価のレビューをお金を出してでも買おうとする業者もいるのが実態だと思いますが、長期的な視点でみても適正なルールに則って、ユーザーの自発的なレビュー投稿を愚直に増やしていくことのほうが賢いと言えるでしょう。

また、具体的なマーケティング手法なども紹介していこうと思います。

最後までお読みいただいてありがとうございます。

 

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Koga Kenマーケティングプランナー
商品開発・動画制作・企画営業などマーケティング全般の仕事に携わってきました。現在は、企業のHP制作・動画制作・商品開発などのマーケティング業務を請け負いながら、海外輸入のECサイトの運営や「ひとりで稼ぐ力」をテーマに投資、副業などの資産形成に関する活動を展開。