2020年4月から民放が120年ぶりに大きく改定されるということをご存知でしょうか。2020年4月より、相続に関する法律の環境が大きく変わります。民法が改正されて、新しく配偶者居住権(はいぐうしゃきょじゅうけん)という権利が認められるようになりました。その権利についてカンタン解説をしていきます。
2020年4月民法改正
民法というのは、私たちが普段生活する上で権利とか義務を規定する最も基本的な法律とされています。成人年齢が18歳に引き下げられたり、不動産などの契約に関するルールが変わるなど、私たちの生活や社会に大きく影響が出ることが予想されています。
その中でも・・・
今回は、遺産相続に関してのルール変更について取り上げていきましょう。
「イヤイヤ…ウチには財産なんてないから(笑)」
そう思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、大きな財産がなくても持ち家の不動産がある方が亡くなった場合であれば、おそらく関係してくる可能性があるので要注意です。
そこで民法改正に伴って出来た、新たな『権利配偶者居住権』について解説していきたいと思います。
現行の民法では配偶者が気の毒なケースもある
現在の民法で遺産相続の際によくあるパターンを例に挙げてみたいと思います。例えば3000万円の自宅と1000万円の預金を持ったAさんという方が亡くなったとしましょう。
Aさんには一緒に住んでいた奥さんとすでに家を出て行った娘さんが一人いました。しかし奥さんと娘さんはあまり仲が良くない上に、Aさんは突然の病気で亡くなってしまったため遺言書を残していませんでした。
この場合、遺産の分け方は基本的には、話し合いで自由に決めることができることになるのですが、二人の仲が悪いとなかなか話が合意する形にならずに揉めてしまう形になったりします。
そうなると民法上の法定相続分は、それぞれ1/2ずつに財産を分与する形で分ける事になります。つまり、Aさんの残した合計4000万円の遺産は2000万円ずつ分けることになるわけです。
しかし、夫を亡くした配偶者の奥さんからしたら、旦那さんと一緒に住んでいた自宅にこのまま住み続けたいと思うのはケースは普通ありえることと言うのは、誰もが想像がつくと思います。
しかし、現行の民放ではこれらのケースの場合、2000万円ずつ分けるためには、最悪、自宅を売却しなくてはいけなくなるわけです。
これだと配偶者の奥さんが不憫で気の毒です。
そこで、今回の民法改正では『配偶者居住権』という権利が発生することになりました。
配偶者居住権とは?
この配偶者居住権というのは、一緒に住んでいた配偶者は、住んでいた自宅を相続しなかったとしても、そのまま住んでいても良いという権利なのです。
これは、元々、自宅などの不動産には「所有権」と言う住む権利やその物件を売却する権利というものがあります。
今回の改正によって、この所有権を配偶者が住む権利と、その他の権利として分けて相続することができるようにしたのです。
先ほどのケースで言えば、3000万円の価値のある自宅を配偶者居住権と、その他の権利として分けて価値を算出することになるわけです。
この「配偶者居住権」の価値というのは、配偶者の奥さんの年齢からこれからあと何年間住む可能性があるのかと、建物の評価額などの条件によって算出することになって、今回のケースだと仮に1200万円の価値があったとしましょう。
法定相続分は1/2ずつ分ける必要がありますから、奥さんは「配偶者居住権」の価値1200万円と、預金の相続分800万円で合計2000万円。
娘さんは自宅に住む権利以外の所有権1800万円と、預金の相続分200万円で合計2000万円という形で分配されることになります。
このケースだと、配偶者の奥さんが自宅を売却してまで、遺産を分ける必要がなくなるということになります。
ちなみに「配偶者居住権」が設定された不動産は、配偶者が亡くなるまでは、売却することができません。
その点からすると娘さんにとっては、少し不利になる改定と言えるかもしれませんが、もし、配偶者の奥さんが亡くなった後であれば、「配偶者居住権」自体は消滅しますので、全ての不動産権利が相続されるとこういう形になり売却も可能になります。
おわりに
2020年4月から改定される民放の中でも、遺産相続のルールが大きく変わる「配偶者居住権」についての解説になりました。
この改訂は、個人的に結構、大きな改訂と思ってまして、遺産相続の際にはかなり影響があるのではないかと思っています。
今は、遺産相続なんて関係ないという方も知識として覚えておいても良いかもしれませんし、この改訂によって相続税の評価額が気になる方は調べてみても良いかもしれません。
そして、配偶者居住権を活用すると、相続税の節税になる可能性がでてきたので、将来的に相続税が発生しそうな方であれば、誰でもこの制度の活用を検討するべきであると言えます。
いずれにしても遺産相続で家族がもめることほど虚しいことはありませんし、亡くなったかたも争いなんて絶対に望んでいないはずなので揉めることなく相続を決着つけられるように家族同士で仲良くすることが大切です。
また、それ相応の財産を所有している方であれば、今の時代、遺言書を残しておくことをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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