文章を多く書いていると、「もう少 し分かりやすく書いてもらえませんか」と言われたことはないでしょうか。直接言われたことがなくても、気が付かないうちに、あなたの文章が相手を不快にしたり、面倒をかけたりしているかもしれません。
今回は、新人研修や様々なビジネスシーンで伝えてきた文章を書く時に気を付けておくと良いと思っている5つのテクニックをお伝えしたいと思います。
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「書く力」だけで会社員としての評価は変わる
書いた文章が分かりやすければ、相手はすぐに内容を理解して、次のアクションへと移ることができますが、逆に分かりづらいと、相手は理解できずに無駄に考え込んだり、分からない点をあらためて質問したりと、混乱を招いてしまいます。
業務そのものも滞るし、相手からの印象を悪さらに、互いの認識にズレが生じたまま仕事が進むと、生産性が落ち、部署や会社の業績にも打撃を与えることになります。
今回は、ビジネス現場における文章スキルの基礎について解説していこうと思います。
「書く力で会社員としての評価が変わる」
現代は、メール一本、プレゼンテーション一発で、仕事の受注や重要事項が決まったりします。
「文章が苦手なので……」と悠長なことを言っていると、文章の書きかた一つで、会社員としての運命が変わってしまうこともあります。
もはや、すべてのビジネスパーソンにとって「文章で分かりやすく正確に伝える力」「文章で相手を動かす力」すなわち「書く力」 は、必須のスキルといえます。
ところが、学校で教えるのはせいぜい読書感想文や論文の書きかたくらいで、仕事で必要な「書く 力」は、誰も丁寧には教えてくれなかったりします。
しかし、社会に出るといき なり、メール、会議用のアジェン ダ、議事録、プレゼン用の資料、業務報告書、引継ぎ資料など、さまざ まな場面で「書く力」が求められる状況です。
結論から書くためのテクニック
「結論から書け」というのは、ビジネス文章を書くときによくいわれることです。
何故かというと、ビジネスパーソンは忙しいからです。
文章の基本とされる「序論・本論・結論」の3段構成や、物語の基本とされる「起・承・転・結」、「大前提・小前提・結」から成る「三段論法」のように、最後まで読まないと結論が見えないような文章は、ビジネスのやりとりでは嫌われます。
「結論から書く」ためには「文章の組み立てを考えること」も重要で、よく使われるテクニックとしては「PREP法」というのがあります。
- Point(主張)
- Reason(理由)
- Example (理由の根拠/例)
- Point(まとめ/主張の再確認)
自分の頭の中に散乱する情報を、ただ漫然と相手に伝えていては、相手は理解できません。
相手をイライラさせる多くの文章は、文章が下手なのではなく、伝えたいことが定まっていない「全体像が見えない文章」がほとんどです。
このような文章にしないためには、文章の「構造」をしっかりと考える必要があります。
まずは、誰に何を一番伝えたいのか、誰に何をしてほしいのかといった、そもそもの目的を考えるようにした方が良いです。
これらを明確にした後、その目的を達成するためには、文章をどのように組み立てるかを考えます。
「5W1H」を活用するテクニック
相手に上手く内容を伝えるためには、相手がどれだけの関心や知識を持っているか、相手にどのようなメリットがあるかといった、相手とのコミュニケーションに必要な「前提」を考えることが大事です。
そして、根拠となるデータや参考資料、類似例や競合の状況など、必要に応じて情報もそろえたほうが良いでしょう。
目的や情報の整理が苦手な人は、「5W1H(ゴ・ダブリュ・イチ・エイチ)」というフレームワークを使うと便利です。
「5W1H」とは情報を「何を」「誰が」「いつ」「どこで」「なぜ」「どうやって」の6つの観点で具体的に書き出していくことができます。
- Where(場所)
- Who(人物)
- When(時間)
- Why(理由)
- What(内容)
- How(手段)
これによって、あいまいさや、情報の抜けや漏れを避けることができます。
さらに情報を整理した後、どの順番で示せば、相手にとって最も理解しやすく、関心を持ってもらえるか、行動に移してもらえるかなど、文章の流れを考えます。
このときに意識すべきなのは、「論理的であること」だ。ビジネス文章の流れは、必ず論理的でなければなりません。
「論理的である」とは、「前提と結論の間の筋道がしっかりと通っていること」になります。
その筋道は、多くの人が納得するものでなければなりません。
文章の中身にきちんと した筋道が通っていないと、「あな たが何を書いているのか」「あなた は何を根拠に書いているのか」と、 相手が混乱してしまうからです。
いわゆる、論理の飛躍や破綻というのが起きると、 伝えたいことが、相手に伝わらないのです。
上司に正確 に伝えるには、取引先を動かすに は、何を一番伝えるべきか、その ためにはどのような情報を集めれ ばいいのか、ひたすら考えてみましょう。
「文 章の8割は構造を考えること」と もいわれていますが、事前に構造を考え ることはそれほど重要ということです。
箇条書きを上手く使うテクニック
人が一度に記憶できる数は決まっていると言われています。
心理学者のジョージ・ミラー は、視覚や聴覚に関する研究を重ね、人が一度に記憶することができる情報の数は「7±2個」程度といわれており、つまり5~9個と発表しました。
「マジカルナンバー7プラスマイナス2」と呼ばれるこの理論は、商品のネーミングの文字数やウェブサイト内のメニュー数など、さまざまなビジネスの 現場で実は応用されています。
ミラーの研究はその後も、多くの研究者へと継承され、近年は「4±1個」つまり3~5個という研究結果も あります。
そういう意味では、箇条書きの項目数を5つ程度にしてみたりと、ビジネス文章でもこの理論を応用して、読み手の記憶に残る文章 になるよう工夫してみるのも良いかもしれません。
また、箇条書きでも数字の箇条書きと、点の箇条書きは上手く使い分けるべきです。
数字の箇条書きの場合は、数字の順番の通りに内容が連動しているケースになります。
例えば、料理のレシピなどが該当します。数字の箇条書きの順番がズレてしまうと、内容に支障が出る場合などは数字の箇条書きが有効です。
文章を推敲する時のテクニック
書籍や新聞の文章は誤字脱字がなく、読みやすいのはなぜだでしょう。
それは、市場に出るまでに、編集者やデスク、校正・校 閲者など、複数の人が入念に推敲(すいこ う/文章の字句をチェックすること)する ためだとされています。
個人の場合だと、複数人に推敲してもらうこ とは現実的ではありませんが、個人でも下記の観点で推敲すれば、文章の質は格段に高まります。
- 誤字、脱字、変換ミスはないか
- 分かりやすい順番で書いているか
- 無駄に長い文章になっていないか
- 句読点の位置は適切か
- 適度に改行をして読みやすくしているか
- 重複している表現はないか
- 表記方法は「統一」されているか
オススメとされているのは、一晩寝かせてから推敲することです。
文章を書いた直後は内容をしっかりと覚えているため、問題に気付きにくいため、一定の時間を置いたり、場所を変えたりすることで、脳がリフレッシュされて、文章のあらが鮮明に見えてきます。
「てにをは」を使うときのテクニック
助詞の使いかたで意味がガラリと変わります。
「本を読むことが好きです」と「本を読むことは好きです」という文章で考えてみましょう。
「は」・・・物事を比較したり区別したりする時に使用します。
「が」・・・自分の好きなことや、希望などを示します。
この文章を見てみると、「が」を使っている文章の方が「読書が好き」だという思いが伝わってきます。
一方、「は」の場合の文章だと「趣味の中の1つとして読書が好き」という意味合いになります。
たった1文字ですが、その使いかたで文章全体のニュアンスが変わることがあります。
例えば「値段が高い」と「値段は高い」では、1文字違うだけで、後者には「値段以外の条件は良い」というニュアンスを感じるようになります。
「てにをは」は、使いかたが明確に定義されているわけではないですが、使いかた次第で、格式の高い文章にも、創造的な文章にも、つじつまが合わない文章にも、どのような文章にもなり得るので注意が必要です。
まとめ
今回は、文章を構造的に捉えて書くための5つのテクニックとしてお伝えしました。
5つのテクニックを文章を書くまでの流れとしてまとめると以下のような感じです。
1:「誰に何を一番伝えたいのか」を徹底的に考える。
1-1 Point(主張)
1-2 Reason(理由)
1-3 Example (理由の根拠/例)
1-4Point(まとめ/主張の再確認)
2:「誰に何をしてほしいのか」を考える。
「5W1H」
・Where
・Who
・When
・Why
・What
・How
3:後押しするための情報をそろえる
・根拠となるデータや参考資料
・経緯や背景の分析
・実態や要因の調査
・関係者や専門家の意見
・類似例や競合の状況など
4:情報を整理して文章を書き始める
・「てにをは」の使い方に注意
・「箇条書き」は7つまで
5:時間を置いて文章を推敲する
・誤字、脱字、変換ミスはないか
・分かりやすい順番で書いているか
・無駄に長い文章になっていないか
・句読点の位置は適切か
・適度に改行をして読みやすくしているか
・重複している表現はないか
・表記方法は「統一」されているか
これらの点に気を付けて、様々なビジネスシーンで仕事の効率化が図れるようにしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。