緊急事態宣言以降、一旦、落ち着いたかのように見えたコロナ禍の影響は、第二波という局面を迎えつつあります。世間では、GOTOトラベルやワーケーション(リモートワーク+バケーション)をしながら地方に行って過ごしましょうというというキャンペーンが打たれています。
今回は、コロナ禍をチャンスに変えて行われている「過疎化ビジネス」に目を向けて、様々な「過疎化ビジネス」をご紹介していきます。
また、最後には個人的に過疎化の1人ビジネスに繋がる考察なんかも含めて行ってみましたので、最後までお読みいただけると幸いです。
これからは過疎地ビジネスがアツい!?
都会に人が集まると言われますが、東京、大阪、名古屋の三大都市に国内人口の56.7%が住んでいます。
都会に人が集中するのは「仕事が多い」ということから、世界的に共通した傾向であって、収入が高い仕事に就ける可能性が高いから都会に人が集まります。
しかし、これらの傾向が、新型コロナの影響によって大きく崩れてきています。
日本国内でも、緊急事態宣言が発令された2020年4月~5月に関東地域に転入した人口は、前年比で比べて25%近く減少したと総務省が発表しています。
例年、この時期は、就職や進学で人の出入りが増えるため、転入者が増える時期ですが、新型コロナの影響で大都市で生活を送ること自体が見直されているような感じです。
一方、地方に移住を考えて、不動産業者に中古物件の問い合わせをする人が増えているようです。
既に海外では、コロナで甚大な被害を出したニューヨークのマンハッタンで、富裕層の4割近くが地方に一時的に移住を始めて減少していっています。
日本でも同様に、都会離れの動きが注目され、過疎地の物件に注目が集まっています。
現在、少子高齢化の影響から地域経済の衰退が進んでおり「過疎地域」として指定されている市町村は800以上あるようです。
過疎関係市町村都道府県別分布図
https://www.soumu.go.jp/main_content/000456268.pdf
特に、富裕層を中心に過疎地への移住が好まれているのですが、その理由としてあげると以下の点が考えられます。
- 人口密度が低い程、コロナ感染のリスクは低い
- 元々、田舎暮らしに憧れを抱いていた人が多い
- セカンドハウス的な感覚で保養地として持ちたい
- リモートワークで充分に仕事を行うことが出来る
これらの理由が上げられます。
とりわけ、リモートワークで仕事が出来ることが大きいのではないでしょうか。
今や、仕事に必要な高速ネット回線の整備状況が整っていて、移動系回線で99.5%、固定系回線で97%となっていて、都会と大差は無くなっています。
ブロードバンド基盤の整備状況
これらのことから、田舎でリモートワークを行って、都会と同じだけの仕事量が保てるのであれば、都会にいる必要はあまりないよねって感じている富裕層が多くいるのでしょう。
過疎地の不動産でも格差が生じている
そんな富裕層の移住先として、注目を集めている過疎地では、当然、不動産のビジネスが熱を持ち始めるわけですが、どこの過疎地でも良いというわけではなさそうです。
伊豆の別荘が“マイナス50万円”でも売れない? 空き家問題で増え続ける「マイナス価格物件」の実態
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2002/17/news078.html
過疎地の不動産でも、田舎の別荘というのはメンテナンスが大変で、過疎化が進めば進むほどインフラの維持コストが重くのしかかってくる傾向があります。
安易に格安だと思って物件に手を出したりすると目も当てられない悲惨なことになるケースもあるようです。
中古物件にかかる費用は、物件購入+リフォーム費用で考える必要があって、築年数が40年以上経過しているような物件は、建物の価値はタダ同然だけど、屋根とか外壁の補修が必要で、キッチン・トイレ・風呂などの水回りの設備の交換とかをした場合、500~1000万円の費用がかかったりします。
そのため、価格は高くてもリフォーム済みの物件などの方が買い手が付きやすい傾向があるようです。
そこで、過疎地の空き家物件を安い値段で買い取って、快適な生活ができるようにリフォームを行った上で、その土地に移住する希望者に向けた販売、または賃貸するビジネスが成り立ち始めています。
すべての中古住宅が再生に適しているわけではないが、昔の家とかで上質の材料を使って建てた木造住宅などは、築年数が50年とか経過していても「古民家」としての価値があったりします。
このような物件は、過疎地の中で探せば結構、残っているようで、上手に探し出せば、付加価値を付けて移住するための物件として再生することも出来るのではないでしょうか。
自治体と民間が連携したビジネス解説
古民家として自分で再生して売り出したり貸し出したり
するこれまでのビジネスもありますが、現在は、地方の自治体は過疎化対策の一環として、他の県から移住者を増やす動きも具体的に進んでいます。
それが、「移住体験施設(移住お試し住宅)」という整備事業で、要は、空き家になっている物件を改装して、その土地に移住してみたいと希望している人に対して、数日~数ヶ月の期間、貸し出して実際に体験的に住んでもらうという事業です。
民間企業が所有する空き家物件を行政が借り上げて、移住希望者に対して「又貸し」レンタルするという仕組みです。
この仕組みが、不動産大家にとっても、新たな投資物件の対象として注目されています。
自治体としては「我が町で住んでもらう人を増やすこと」が目的であって、物件のレンタル料自体で儲けることを考えていません。
したがって、移住体験施設の利用料金としては、2名で1週間ほど滞在したとしても、平均1~2万円くらいと、かなり安く設定されていたりします。
ただ、利用の条件は厳しく、観光目的とかでは利用することは不可能で、真剣にその土地に移住を検討している人にだけ貸し出しをしているようです。
大家サイドにとっては、月々の利用料金は安くても、リフォーム代やメンテナンス費用を自治体側が負担してくれるなた、空き家の物件を良い状態で維持しておくことがメリットがあります。
また、年間の稼働日数に応じて自治体から利用料金が支払われるので、非稼働の期間は、民間の宿泊施設として収益化しているケースもあります。
毎日通勤する必要のないフリーランスやコロナ禍で増えつつあるリモートワーカーなどを呼び込むことができれば、転入者を増やすことができる狙いもあって過疎化が進んでいる自治体で移住体験施設が増えつつあります。
では、コロナ後のリモートワークを呼び込める町として、今後の不動産価値が高まることが予測される地域の特徴とはどんなところにあるのかを上げるとすると以下の3点が考えられます。
■プログラマーやライターなどのホワイト系が住みやすい場所
■自然環境が豊かで住宅価格が都会よりも割安な場所
■子供の通学や学習環境にも適した場所にある地方都市
これらのことを考慮すると、国立大学がある地方都市の周辺などは、今後のリモートワーカーを行っているホワイトカラー職のプチ富裕ファミリー層を誘致するために人気が上昇していく可能性があります。