今回のニュースは、関西電力の金品重要問題を取り上げたいと思います。このニュースは、なかなか闇が深そうな感じがしますよね。関西電力の経営幹部20人が福井県高浜町の元助役から3億2千万円という多額の金品を受け取っていたという問題です。
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関西電力の金品受領問題
先日、ニュースでやっと関西電力の会長や役員が辞任を表明したようですが、まだまだ真相は闇の中にありそうです。
この問題というのは、正直、何がどう問題なのか分かりにくいですよね。何故、町役場に勤めている助役が関西電力の役員に金品を渡していたのでしょうか。
菓子折りの中に、金貨を忍ばせていたとか言われているらしいのですが、それって、完全にドクターXのドラマで、西田敏行さんが演じていた蛭間院長のまんじゅう(饅頭の下に札束)の演出と同じですよね。
ただ、何かお金の流れが逆なような気もします。現在、臨時国会でも野党は、この問題を追及しようと参考人招致を要求する事態に発展しています。
そこで、今日はこの関西電力金品重要問題について、そもそも、どんな問題なのかについてお話ししてみたいと思います。
原発の利権がうごめく高浜町
この問題の舞台は、福井県の高浜町という町になのですが、人口1万人ほどの小さな町です。ここに関西電力の高浜原子力発電所があるのですね。しかし、ここの発電所は営業運転を始めて40年以上が経過していて老朽化した原発になります。
2011年の東日本大震災の時の福島第一原子力発電所の事故がきっかけで、原発を稼働させるためには、もっと水準の高い安全基準が設けられたのです。
この高浜原発でも、四つある原子炉の内、一部が運転を停止する仮処分を受けたり、再稼働のための安全工事を施したりしながら、なんとかしながら運転延長の許可を取ってきた発電所なのです。そこには当然、地元住民の理解が必要とされ自治体の協力も欠かせなかったわけですね。
しかも、関西電力にとって高浜原発は、全体の発電量の約20%を占めているのもあって、関西地区のエネルギー供給には欠かすことの出来ない発電所ということなのです。
つまり、福井県の高浜町という小さな町は、原子力発電所を中心に様々な事情やその利権を巡って、いろいろな思惑が渦巻いている地域だったわけです。
3億2千万円の金品受領の概要
それでは、ことの問題の概要についてお伝えすると、関西電力の八木会長や岩根社長をはじめとした経営幹部20人が、2011年から2018年までの7年間に、高浜町の森山元助役っていう人から、3億2千万円相当の金品を受け取っていたということが明らかになりました。しかし、この森山元助役という人は既に亡くなっている人なのです。
そして、その受け取っていた金品と言うのが、現金のほかに金貨や一枚50万円相当の小判などで、一人で1億円以上も貰っていた人がいたわけです。
出典:産経新聞
そして、この資金の出所と言うのが、高浜町内にある吉田開発という建設会社から、手数料という名目で3億円がこの元助役に支払われていたことがわかったのです。この吉田開発っていう会社には、関西電力から高浜原発関連の工事が発注されていて資金が流れていたのではないかとされています。
つまり、多額の原発マネーが回りまわって、経営幹部に還流していたのではないのかという疑惑が持たれているわけです。
ちなみに、この問題が何故発覚したのかというと、昨年2月に森山元助役に対する税務調査で、関電に多額の金品が渡っているということを裏付けるメモが見つかったということが発端だと言われています。
問題発覚した後の関電の対応
当初、関電側は、記者会見でも詳細については個人情報に当たるとして説明を拒んでいました。しかし、公益企業としての公正性や、透明性の低さに批判が集中して、これまでの対応とは一転して、社内調査の内容を公表したことで、金品の内訳が発覚しました。
納得がいかないとされているのが、金品の取り扱いについてなのです。
岩根社長によると、元助役からの金品は、後で返そうとしていたと言っているのです。これについては、実際、金品を受け取っとおいてそれはないですよね。
しかも、受け取る際に拒否としたら元助役に「無礼者」と恫喝されたり「俺の顔を潰す気か」って言われたりして返すに返すことが出来なかったと言っているのです。
もし、仮にそうだったとしても、さも自分達は悪くない。まるで被害者であるかのような発言を繰り返していただけなのでです。
問題の根源である森山元助役と言われる、本人はもう亡くなっているわけですから完全に「死人に口なし」状態とはこのことを言うのででしょう。
つまり、高浜町で絶大なる影響力を持つ、影の町長とか高浜原発のドンとも言われていた森山元助役の機嫌を損ねると、関西電力としては都合が悪かったと釈明をしているわけです。
しかし、そういう事情だったとしたら、本来、会社として管理すればいいわけで、何故、個人で管理していたのかという疑問が沸いてきます。
しかも、すでに大半は返却したって言っているのですが、これも昨年の税務調査の後であって、もし発覚していなかったらどうするつもりだったんでしょうか。
また、昨年2月の税務調査で明らかになっていたのに、なぜ、こんな公表するのが遅れたのかという問いに対して、経営者側は「違法」と判断をしていなかったからという答えをしています。
このように、記者会見の時点では、再発防止や原因究明のためという理由で、会長から社長・役員と誰一人も辞任しないという方向で進める流れで対応されていました。
この問題の最大の焦点は、関西電力の経営幹部は、本当に建設会社に便宜を図っていなかったのかという点です。
実際、吉田開発は平成30年までの3年間で安全対策工事を約22億円も受注していて、関電側ではこれを「特命発注」と呼んで引き継ぎまでされていたそうなのです。
さらに闇が深いのが、森山元助役は、関西電力の完全子会社である関電プラントという会社の非常勤顧問を30年以上もしていて、その間、報酬をもらっていたことが分かっています。
この関電プラントという会社は、高浜町にあるのですが、実質、関電側である発注サイドの会社だけということは、この元助役は発注側にも受注側にも両方に関与していたことになるわけです。
それにも関わらず、今回の役員の説明では、発注プロセスや金額は社内のルールに沿って、違法性はないと説明しているわけです。
現時点では、直接的に金品受領が工事発注に影響を与えたのか、どうかという確定的な証拠が出てきていないので、今後、この辺りがはっきりしてくれば、会社法による収賄罪や特別背任罪などの刑事責任が問えるのかどうかが明確になってくると思います。
今後の注目点について
関西電力の筆頭株主である大阪市の松井市長は、株主代表訴訟を起こすことも辞さないと考えを示しています。もし、原発マネーが還流していたとしたら、役員達が受け取った金品の一部は、元を正せば消費者の電気料金ということになります。
電源三法交付金と言って原発の負担を強いている自治体に対して、我々国民の税金が投入されているという側面もあるわけです。
さらに、福島の事故を受けて、原発の再稼働に向けた国の原子力政策への信頼を大きく損ねることになり、原発を抱える地域の方達との信頼関係に相当影響が出るものと思われます。
何よりも福島で被災して、死に物狂いで復興に取り組んできた人達にとって、本当に許しがたい行為ともいえます。問題発覚後の対応を見ても、本当にこの人達に原発を運営する資格があるのかと思ってしまうのは当然だと思います。
非常に公正性や透明性が欠けている上に、問題の重要性を認識しているのか、疑問の残る対応と言わざるをえないと思います。
今回の問題は、原発事業の歴史上最大の不祥事とも言われている中で、しっかりと第三者の目による厳正な調査をして頂き、司法を通じた責任追及をしてほしいものです。
2019年12月の時点で、金品受領問題を再調査している関電の第三者委員会(委員長=但木敬一元検事総長)からの経過報告がありました。以下その要点になります。
- 年内に結論を出すのは難しく、現在、百十数人程度にヒアリングしている状況で、600人に関しては書面調査を行ったとのこと
- 量的なことだけで言えば5合目は越えたが、質的な意味では見通しが立っていない状況
- 昔の発端部分に遡って解決を図っていきたいが、非常に難しいという認識。80年代も限られた資料や記憶の中でどれだけできるかが不透明な状況
2020年3月14日に第三者委員会の発表まとめ
関西電力は3月14日の午後より、金品受領問題の第三者委員会がまとめた最終報告書を公表しました。
第三者委員会は、特別顧問の弁護士4人を中心に発足され、200人以上から社員からの書面での聞き取り調査や、OB専用のホットライン回線を設置しての情報収集、消されたメールの復元作業などを行い実態解明の調査をしたとのこと。
第三者委員会で発表された内容は以下の内容に整理されます。
①役員が受領していた総額は、森山氏が高浜町助役を退任した1987年の直後から始まり、75人に渡り、3億5千万相当に膨らむとのことで、当初、発表されていた3億2千万円よりも膨らむ結果になった。
②森山氏は1970~80年代に高浜町で助役を務めて、原発誘致や稼働について強い影響力を持ち、関電からは発注工事の情報を提供され、多くの工事を受注するなど不適切な関係が続いた。
③第三者委員会は、これまでの間電の動きで、組織としての対応が放置されていたことや、歴代経営陣によるチェック機能が働いてこなかったことを問題視し、ガバナンス強化策として関電の会長に外部人材の起用などを提言した。
④森山氏の多額の金品を提供していた目的として「権威の誇示」などが上げられていたが、金品が多額で提供先も原子力部門の担当者に集中していることから「森山氏は、関電からの見返りを期待して提供していた」と考えるのが適当と判断した。
この報告に合わせて、関電は、岩根社長が今回の調査報告を機に辞任。後任に、森本孝副社長(64)が昇格する人事を発表しました。
関電の新しい会長人事に関しては、東レ出身で経団連の前会長でだった「榊原定征」氏に会長打診があったそうですが、受諾されたのかどうかは現時点で不明です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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