ビジネスの現場で活用する思考法の「論理的思考」から「批判的思考法」に至るまで、基本的な活用の仕方を紹介します。アイデア発想、ビジネス構築、戦略立案、学習、分析などあらゆるシーンで役に立つ考え方を幅広く解説していきます。
今回の思考法は、10万部突破の「思考法の図鑑」という著書を読んで、その中の資料をもとに要点をまとめています。
本書には、約60種類くらいの思考法の使い方とヒントが掲載されています。今回は、そのうちの2種類の要点を解説しながら、個人的な意見も述べながら解説していこうと思います。
Contents
思考法を活用するために
物事に取り組む際は、目的を明確に持っていた方が高い効果が得られます。
その点で言えば「思考法」とは「問題解決を目的として結論を導き出すために、考え方の筋道や方法を体系化したもの」です。
常に思考の中で、意識しておきたい視点が「それはどんな思考法か (What)」「なんのために存在する思考法なのか (Why)」「どうやって使うのか(How)」の3つの視点です。
漠然とインプット·アウトプットするよりも、こうした項目を意識して、それぞれについて理解できているかのかを確認しながら思考を進めていくと上手に思考法を活用することができます。
「なぜ型」「いかに型」の問い
問題解決のためには、 様々な問いを立てる必要があります。 常にベースとして備えて置くべき基本的な「問い」の姿勢である 「なぜ型」の問いと「いかに (○○するか)型」です。
「なぜ型」の問いは、目的や意味を問う場合に活きてきます。
本書の中では、観光業で観光客をたくさん呼びたいと考えているときに「人はなぜ観光をするのか?」 「なぜ観光客を呼びたいのか?」などを考えて「そもそも」の視点に立って思考するということが大切だとされています。
一方、「いかに型」の問いは、解決策や方法論を問う場合に活きます。「いかに海外の人に認知してもらうか」「観光に来てもらい思い出をいかにして作れるか」などの考え方をします。
問題解決の方法を考える際やビジネスアイデアを考える際、 これら2つの問いを往復することによって、目的から具体的なアクションまでをひもづけて思考していきます。
論理的思考(ロジカル·シンキング)
「論理的思考(ロジカル·シンキング)」とは、結論と根拠のつながりを明確にして、客観的かつ合理的に考えるための思考法です。
「○○だから△△」でつながる三段論法なんかも論理的思考を使った考え方の一つと言えるでしょう。
三段論法というのは、ある事実や前提となる正しい情報を起点にして「AはBである」→「BはCである」→従って「AはCである」推論を重ねていき結論を導き出す手法のことです。
結論と根拠がつながっていないと、何を考えているのかわからず思考が迷子になったり、他者に伝えたい場合に理解してもらえないといった状況に陥ります。
そうならないために、筋道立った思考が必要になります。
論理的思考は様々なエッセンスを含む概念ではありますが、ここでは「結論と根拠がそれぞれ明確であり、さらにそれらが適切に結びついているか」という視点を日々の思考の中に取り入れるためのポイントとなります。
論理的思考の流れ
1:[論点を決める]
何について考えるのかを「論点」として設定します。前項の図解では「苦戦しているアパレルショップ事業から撤退すべきか」を論点にしています。
2: [情報を集める]
最初に設定した論点に対する結論を出すために、必要な情報を収集し整理します。情報はやみくもに集めるのではなく、事前に論点をある程度分解して、集めるべき情報の全体像を可視化しておくと効果的です。
3:[何がいえるかを考えて]
情報を集めたら整理した情報から何が言えるかを考えます。情報から「解釈」を引き出すステップを踏んでいき、最終的には論点に対する結論を出すことを目指します。
4:[論理を構造化する]
最終的な結論に至ったら、その結論までの思考の筋道を整理します。結論と根拠の全体像を整理するには、 結論を頂点としたピラミッド構造に整理するのが有効です。「Why So (なぜなら)」と「So What(だから)」 でそれぞれがつながっているか、漏れなくダブりなく考えられているかをチェックします。
思考に行き詰まったら頭の中だけで考えるのではなく、外に出してみましょう。人に伝えようとすると、自分以外の人でもわかるように論理を整理しようとします。
人と話したり文章を書く過程で見えていない部分が精査されて分かってくるので、論理的な思考を促進することができます。
批判的思考(クリティカル·シンキング)
「批判的思考(クリティカル·シンキング)」とは、健全な批判精神を持ちながら、物事を論理的に考える思考法です。
論理的思考は「結論」と「根拠」を筋道立てて考えるものでしたが、論理的思考法は、問題解決の場面で非常に役に立ちますが、最初の前提となる設定を謝ったり、解釈を間違えたりすると効果を発揮することができません。
また、そもそもの問題設定を間違えていると、いくら論理的に考えたところで正しいアクションには至りません。
その点、批判的思考には、このような論理的思考の注意点を補う機能があり、前提は正しいのか、結論と前提は本当につながっているかなど、客観的かつ批判的な目線で思考を行います。
批判的思考の流れ
1:[論理を展開する]
前項の論理的思考の流れで論理を展開します。つまり、論点を決め、情報を集めて、そこから何がいえるかを考え、論点に対する結論を出します。
2:[論点を疑う]
構築した論理を「本当にそうか?」という視点を持って批判的に考えて、疑って思考します。そもそも設定した論点が間違っていると、いくら論環を構築しても意味がありません。 この論点は本当に正しいのか?と疑うことで、考えようとしていることそのものの正しさを確認します。
3:[結論と根拠のつながりを疑う]
結論と根拠が「Why So (なぜなら)」 「So What (だから)」でつながっているか(論理が飛躍していないか)を疑い、正しさを確認します。
4:[前提を疑う]
結論と根拠の間にある前提についても疑ってみます。前提は時と場合によってその正しさが変わるため、いま置かれている状況や条件の中で適切かどうかを確認しましょう。
このように、自分の考えを多様な視点で疑うことによって論理の矛盾や穴を特定し、補強していくのが批判的思考です。常に問い続ける思考の体力、問いへのタフネスを養っていくことが大切です。
論理的な思考、批判的な思考を鍛える方法としてオススメされているのが「ひとりディベート」です。問いに対してまず1つの意見を考え、それに反論する意見を考えます。
さらに反論意見の反論意見を考える、というプロセスを繰り返すことで、物事を客観的·多面的にとらえられ、論理を深めていくことができます。
まとめ
問題とは「あるべき姿」と「現状」のギャップ
そもそもの「問題」というのは「あるべき理機の姿と現状とのギャップ」のことを言います。問題発見から課題な定の大枠の流れは下図のようになります。
問題発見から課題設定の流れ「理想と現状」を比較し、問題を可視 化することから問題発見は始まります。
その問題の原因を分析し、その原因を取り除く(問題を解決する)ためのアクションが課題となり、解決策として具体的なアクションの内容を考えていきます。
思考と行動の大切さ
思考と行動は車の両輪のような存在であり、互いの質を高め合うもので「思考と行動は相反するものではなく、両方の力を高めていくことが問題解決力を伸ばすために重要である」ということです。
得た知識を「いかに」行動に結びつけるかを意識しておくことが重要で、日々の仕事の会議、アイデア発想、企画書や提案書の作成など、具体的に頭を使うシーンを想定しながら、「あの場面でこの思考法を活かすとどうなるか?」と思いをめぐらせていくのが良いのではないでしょうか。
結局、頭で考えて行動に移さなければ意味がないので、思考というのが「いざ、行動を起こすため」に勇気を得るための一つのプロセスであるということだと思います。
そして、行動から得ることができた情報を更に、論理的思考の分析する素材として、さらに結論をブラッシュアップして行けたら良いのではないでしょうか。
今回、ご紹介した論理的思考法と批判的思考法は、様々なビジネスシーンで活用するキホンの思考法です。参考著書にあげた「思考法図鑑」には、他にも58種類の思考法がわかりやすく掲載されています。
参考になったら実際に手にして、思考のトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。
自分の意見を支持する情報ばかり信じてしまうと、問題に対して「まだ大丈夫」と軽視してしまう傾向に陥ることになります。人には思考の偏り(バイアス)があって論理が歪められてしまう可能性があるため、自分を客観的に疑ってみることが重要です。