『仕事を分解』して各工程を変えることでビジネスになる
需要と供給の概念には、「提供する側=企業」と「利用する側=顧客」の2つのプロセスが存在します。
アメリカの経済学者で競争戦略の第一人者と言われているマイケル・ポーターという人が提唱した「バリューチェーン」という考え方があります。
これは、サービスが顧客まで届くまでのプロセス(原材料の調達から製品が届くまで)の一連の過程を価値(value)の連鎖(chain)として捉える考え方です。
例えば、倉庫などを貸し出すビジネスの工程を見ていくと、①倉庫建設→②営業活動→③契約締結→④保管業務→⑤付帯業務という流れになります。
一方、サービスを受ける顧害側のプロセスというのは、マーケティングの教科書によく掲載されているAIDMA (アイドマ)などが有名です。
AIDMA (アイドマ)とは、Attention (注意、認知)→ Interest(興味、関心)→Desire(欲求)→Motive(動機)→Action(行動)
これは、顧客が商品やサービスを購入するまでのプロセスのことを表しています。
このそれぞれの流れの中で、どこか変えられるところがないか・・・というのを考えるのが第3の軸である「工程の変化」です。
単純に流れを入れ替えたりすることも可能ですし、ある一部の工程を取り出してしまうなんてことも考えられます。
例を上げると、倉庫の貸し出しビジネスにおける「⑤の付帯業務」に特化させて、顧客の荷物が保管された倉庫のセキュリティ強化を行うサービスなどを提供するということです。
この工程を変えることで考える思考で大切なのは、一連の工程を「分解」してみることです。
スーパーに入ったお客が取る行動を一連の流れを分解すると、店に入る→かごをとる→商品をみる→商品を選ぶ→かごにいれる→レジにならぶ→支払いをする→袋にいれるといった具合に仕事を分解する作業を覚えましょう。
その分解した工程の中で変えられる部分はないかという視点で考えると「レジを無人化にしよう」とか改善のアイデアが出てくるかもしれません。
「属性を変える』パクリ商法で違う業種でヒットを生み出す
地域、産業、業態、種類などといった各カテゴリーを、今、属しているものとは別のものに置き換えてみたりするということです。
新しいビジネスを考えるときに、同じ業態、つまり同一カテゴリー内での発想に陥りがちですが、そこをあえて、別のカテゴリーに当てはめてみるのです。
これが第4の軸「属性を変える」です。
例えば、北海道にしか売られていない商品を東京に持って来て、成功を収めているのが良く百貨店などで行わている「北海道物産展」などです。
これを規模を拡大して東南アジアで流行っているものを日本に持ち込むとどうなるのかという視点で考えてみることも出来ます。
また、「産業」というカテゴリーで見ると、自動車産業で使われている販売手法をホテル業界に持ちこんでみるといった感じです。
要は、上手くいった業種のパターンをパクッてしまおうという考えです。
具体的な例としては、ドライブスルーが分かりやすいと思います。
元々、ドライブスルーはマクドナルドという人がアメリカ全土で広めるために、車で直接来てもらって、テイクアウトしたら、大きな店舗も持たずに経費を抑えてビジネスが出来ると考えられて生まれた仕組みです。
そのやり方が当たって、マクドナルドはアメリカ全土にひろがったのですが、このドライブスルーの仕組みを違う業態で考えて生み出されたのが、車の洗車機です。
ガソリンスタンドに車のまま乗り込んで、そのまま機械が洗車してくれることで、手軽さと人件費を掛けずに洗車することができるということで、ガソリンスタンドに導入されていきました。
このように、今あるシステムややり方を違う業種に転換するとどういうサービスが出来るのかを考えていきます。
そして、このときポイントになるのが、「性質」です。
自動車会社で使われている方法を、他へ転用できないかと考えるときに、それぞれの「性質」を押さえておくことが大切となります。
例えば「建設業」や「システム開発業」は、人材集約型と呼ばれて、とにかく人を集めないとビジネスが回らないといった性質を持っています。
百貨店などは、不動産業と似ていて、場所を貸して「賃料」を得る資本集約型の性質を持っています。
そのビジネスの収益を得ている本質的な要素ともいえるのが「性質」になるのですが、この「性質」を確認した上で、違う業種に持って行って当てはまるのかどうかを確認することが大切になります。
まとめ
4つの軸をご紹介してきましたが、それぞれの軸は一つだけではなく掛け合わせて考えることも可能です。
ビジネスのプロセスを変えてしまってから、別の産業のやり方やノウハウを持ち込んでビジネスに変化を与えるやり方です。
また、この4つのビジネスモデルの作り方は、日頃から利用しているサービスや、大手の上場企業のビジネスモデルを基準にして、4つの軸に当てはめて考えると練習にもなります。
また、新聞なので取り上げられている企業買収や、新サービスの発表なども、この4つの軸の内、どこをチェンジしたことで生まれたサービスなのかを考えてみてください。
それだけで、かなり新しいビジネスなんかを考える力付くと個人的には思っています。
「いいアイデアが思いつかない」と悩むのではなくて私は、「ゲーム」感覚でやるようにしています。
肩の力を抜いて、リラックスしながら気軽にこの4つの軸に落とし込んで考えていくと、自分でも驚くような斬新なビジネスモデルに巡り会えるかもしれませんよ。
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