「移動の革命」MaaSをカンタン解説【MaaSアプリ・サービス紹介】

最近、ニュースなどで耳にする「MaaS(マース)」は、交通サービスの大改革と言われています。ワンクリックで全ての旅程の手配が完了するMaaSについて分かりやすくカンタン解説をします。

定額乗り放題の移動の革命MaaS到来

車も電車もタクシーも定額で乗り放題になると言われる未来をMaaSと言います。これが、2020年に日本にも入ってきます。

MaaSというのは、ざっくり結論を言うと、電車、バス、タクシー、レンタサイクルなど、あらゆる交通手段が必要に応じてひとまとめにパッケージ化され、定額で提供されることになります。これらを一つのスマホアプリで決済から手配までを完結させることが出来るサービスです。

MaaSは、人の移動を最適化するための交通サービスで、2016年にフィンランドのヘルシンキで起業した「Whim(ウィム)」によって世界で初めて実現されました。

MaaSの概要について

MaaSは「MOBILITY as a Service」という言葉の頭文字から「MaaS」って言われています。利用する人とあらゆる移動手段をより便利に、そして効率的につなげるために日本国内で実証実験が始まっており、これらのサービスが進んでいくと、自家用車を持つということが無くなっていくと言われています。

MaaS実現に向けては、プラットフォームの存在が重要です。各種交通情報や地図情報などを交通サービス提供者が利用しやすくすることで、利用者にとって便利で効率的な移動手段を提供することができます。

 

だからこそ、今、有名企業がMaaSに続々参入を表明しており、トヨタソフトバンク、JR東日本、JR九州、三井不動産、日本旅行、近鉄、西鉄、KDDI、小田急、日の丸交通、新潟県など、有名な大企業から自治体がMaaSに参入してきています。

今ままでどこかに旅行に行こうとした時に、新幹線の時間から予約をとって、旅行先のバスの時間を調べて、細かい移動をするためのレンタサイクルの予約も行うなど、あらゆるサービスが分断されています。

しかし、MaaSを利用することで検索から予約、決済までが一括で完了させることが可能となり、移動手段ごとにわざわざ予約を取る必要も無くなります。

MaaSは、提供することが出来るサービスに応じて「レベル04」の5段階で区分されています。

このレベル区分は、MaaSの中核を担うと予想されている「自動運転」のレベル構成と似ています。自動運転のレベル区分に関しても、後半で紹介していますが酷似しています。



MaaSのレベル区分について

レベル 説明 該当するサービス
レベル0 統合なしの状態で、各、移動サービスが独自にサービスを提供している状態 タクシー、Uber
バス、電車、
カーシェア、
レベル1 料金・所要時間・予約状況など、移動に関する一定情報が統合された状態。アプリやサイトなどにでユーザーにサービスが提供されている段階 NAVITIME
Google
乗換案内
レベル2 目的地までの交通機関を、スマホのアプリを使って比較することが可能となり、予約・決済が可能になる段階 滴滴出行(Didi、中国版のUber)
Smile einhuach mobil
レベル3 事業者間同士の連携が進み、どの交通機関を選択しても目的地までの料金が統一された状態。定額乗り放題サービスのプラットフォームが整備された段階 Whim
UbiGO
レベル4 事業者だけの連携に留まらず、地方自治体や国が都市計画・政策としてMaaSに組み込まれた最終段階

現在、日本はレベル2の段階で情報の統合という部分を頑張っていて、レベル34の実装が各地で進んでいる状況だと思います。

そういう意味では、MaaSというのは、これまで分断されていた運行サービスが統合されていくことで、ユーザーにとってはの利便性は一気に上がるのではないでしょうか。

個人的には、MaaSが実現したら、病院、ポイントカード、スマホ決済など分断しているサービスを統合して欲しいと思いますね。

体験できる!実験中!のMaaS紹介

交通インフラが充実している日本では、各交通機関同士の相互利用はハードルが高いです。しかし、自社内など限られた範囲でMaaSを体験できるアプリが鉄道会社やバス会社からは登場して実証実験が行われています。

WILLERSアプリ

 

地方観光では、旅行者の「足」をめぐる課題は多く、この課題を解決するためのサービスとして登場したのが「WILLERSアプリ」です。出発点と目的地を含む経由地は、最大で5箇所まで設定可能でレストランからバスなども一括決済することができます。

現在は、東北海道、京都丹後鉄道沿線エリアで観光スポットなども含めた行程も追加することができます。

西鉄×トヨタ「My Route

店舗・イベント情報の提供」から実際の移動手段の検索・予約・決済」までをアプリ一つで提供するサービスです。タクシーの予約や決済のほか、西鉄バスのデジタルフリーの乗車券の購入も可能です。

目的地の検索をするとシェアサイクルやタクシーの空車確認をすることも出来て、自家用車で行く場合は、駐車場の空き情報なんかも確認することができるようになっています。

東急×東日本「Izuko

 

伊豆を舞台に鉄道、バスからレンタサイクルなどをスマートフォンから検索と予約、決済までができるサービスです。昨年の12月からは交通機関や観光施設で利用可能なデジタルフリーパスなどのサービスが拡充しています。

観光地ではジャンボタクシーを使って、所定の乗降場所の間を自由に乗降できる、新しい交通試行などもされています。



トヨタ×ソフトバンク「MONET

トヨタ自動車とソフトバンクが共同でMaaSの事業を実現するために設立した「MONET」は、コンビニ、宅配、スーパー、医療などの各サービスと連携を図りながら、サービスの一元化を行います。

これらの大型プラットフォームとなると、大量の車両データを吸い上げることが可能になり、人流、移動、人口分布、車両位置、交通渋滞、などの大量のデータを獲得することが出来ることでデータの価値化を図ることが出来ます。

Whim×三井不動産「柏の葉で実験」

冒頭でも紹介した世界初のMaaSを開始した「Whim(ウィム)」が201912月から千葉の「柏の葉」でMaaSの実験サービスが始まっています。

12月から始まるサービスの中では、市内タクシー、バス、カーシェア、バイク、などが目的地に応じて表示されて、予約・決済もアプリでできるようになるとされています。今後、電車などの交通機関とも連携できるように議論が進められているようです。

三井不動産からしたら、MaaSが整備された街に住みたいと思ってもらいビジネスチャンスにつなげていくのでしょう。

KDDI×JAPANTaxi「お台場MaaS

KDDIJapanTaxiは、東京臨海副都心エリアで快適な移動のサポートを行うためのMaaSの実証実験アプリの提供を開始しています。

MaaSの実証実験では、お台場エリアの地図と観光関連の記事の閲覧が可能になっており、対象のエリア内で利用することができるクーポンが配信されます。

このように「お台場の移動がなる」ということを利用して集客としても活用されています。

日の丸交通×ZMPRobocar Walk

自動運転タクシー・自動運転モビリティ・空港リムジンバスを連携させるためのMaaSの実証実験が行われています。この実証実験では、空港バスと小型自動車運転者のサービス統合を行なっています。

ZMPというRobocar Walkという小型の自動運転車を使って、空港からの都心部への移動をラクにするためのサービスが展開されています。

これだけMaaSの普及が進んできたのは、何を行ってもスマートフォンの普及が大きいと思います。また、自動運転などのソリューションが実用化されつつあるのがあるのではないかと思います。



注目の「MaaS」モビリティサービス4選

カーシェアリング

今では、結構、ポピュラーになってきたカーシェアリングですが、最大手「タイムズカーシェア」を筆頭に、スマホから予約が出来て分単位で利用できる自動車レンタルサービスです。

今では、自動車メーカーも本格的に参入を開始していて、カーシェリング各社のシステムがMaaSのデータ基盤とつながることでとても便利になっていきます。

私も、かれこれ自家用車を持つことを10年前からやめて、タイムズのカーシェアリングを活用しています。出張で東京に行ってもすぐに車を手配できるので便利だと思います。

シェアサイクル

近年、大阪でも増えつつあるのが手軽にチョイ乗りができるシェサイクルです。MaaSアプリ内のルート検索でも移動手段として選択できるケースが増えてくるでしょう。

登録料や年会費無料が多くて、低額料金で利用できるのが特徴で返却などは他のステーションでもOKというところも出て来ています。旅行先で、行きは景色を見ながらシェアサイクルを活用して、帰りは疲れたから車を使って帰ってくるということが可能になって来ます。

オンデマンドバス

歯医者プラットフォームを利用したオンデマンドバスでは、利用者がアプリで乗降場所や日時を選択して予約すると、バスが指定の場所に到着して利用することができます。

過疎化が進んだ地域では、期待される新たな移動手段として、将来的には自動運転と連動して運用が出来るように期待の声が大きく寄せられています。

安平町デマンドバスの車両イメージ=出典:MONET Technologiesプレスリリース

パーソナルモビリティ

パーソナルモビリティーと言うのは、1人乗りでコンパクトな移動マシンのことです。電動車いすが主流で、個人向けの移動ツールです。

超高齢化の時代を迎える日本では、電動車いすの需要は確実に伸びることが予想されています。今後、歩行に代わる新しいモビリティとしての可能性を探り、公共機関やテーマパークなんかとの連携を含む実証実験が行われています。

自動運転とMaaSのテクノロジー

最近、よくニュースや新聞などの記事でも見るのが自動運転に関する記事はよく見かけます。

自動運転は今すぐにでも実現しそうな雰囲気が生まれていましたが、2018年にアメリカで自動運転車による歩行者死亡事故が起きてから、各国、自動運転に対してナーバスになり状況が一変しました。

その後、実証実験が繰り返し行われ、最近では、無人での遠隔操作も試されています。MaaSで使われるモビリティはこうした車両で運用されることがほとんどで、その車両は人を運ぶだけでなく、必要に応じて車体を載せ替えて物流や店舗として利用されることも想定されています。

その象徴と言われるきっかけを生んだのが、トヨタの「e-palette」があります。これまで、日本の中でどこか曖昧だったMaaSにおける自動運転のスタイルが、トヨタの提案から一気に加速する方向に進みました。

MaaS×自動運転としてトヨタが発表された「e-palette

2018年の1月にアメリカのラスベガスでトヨタが発表した「e-palette

自動運転の技術に関しては、着実にその技術の進化を遂げており、日産などは新型のスカイラインに一定条件下でハンズオフ(手放し運転)可能にして発売をしました。

自動運転には以下のように0~5のレベルで区分分けされています。

「レベル0」通常運転
ドライバーがすべての運転操作を行う状態で、普通の自動車運転の状態です。

「レベル1」運転支援
ステアリングをシステム制御してくれて、加速か減速のどちらかをサポート。

「レベル2」運転支援
レベル1のサポートに加えて、ステアリング補正やスピード調整ができる機能を搭載。

「レベル3」自動運転
特定の場所で自動で運転操作をしてくれるが、緊急時はドライバーが操作。現在、各メーカが販売している自動運転はこの基準

「レベル4」自動運転
高速道路など特定の場所に限定して、緊急時も含む運転に関わる全ての操作をシステムが行う。現在、どのメーカーも市販するまでには至っておらず、テスト走行がされている状況です。

「レベル5」完全自動運転
ドライバーが運転を行う必要が完全になくなり、アクセルやハンドルがないのデザインも可能。現在、どのメーカーもテスト走行の段階で、各メーカーからコンセプトカーが発表されている。



まとめ

今回は、NaaSについて解説をさせていただきました。

ここまで、急激に移動の革命的なことを進めるのは、MaaS自体、世界的な流れになりつつあって、日本としても乗っかっておきたいという狙いと、企業としても大きなビジネスチャンスとして考えられているのが大きいと思います。

企業としては、人が移動することで得られるビッグデータは大きなビジネス資源になると思います。個人の移動データや住んでいる場所と行動パターンなどは、新しい広告サービスの提供やデータサービスなどに活用することができるので、巨額の投資をしても十分に回収できる見込みは立つと思います。

そういう意味では、今後は、ビッグデータをめぐっての競争は激化していくのではないでしょうか。

ここまで個人の移動データや個人情報が取得されると個人情報の流出がリスクになりますが、この辺りの整備も並行して行われてくるのではないでしょうか。

また、MaaSが普及することで私たちの生活も「クルマ」を買うという概念は無くなると考えます。トヨタもこれからのトヨタ自動車は車を売る企業では無くな理、サービスを提供する企業になっていくと大きくビジネスモデルの変更をして行こうとしています。

このように、移動の変化や新しいサービスを楽しみながら、新しいビジネスチャンスを探っていき勉強していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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