2009年1月3日から全ての取引が記録されているビットコインですが、今回は、初心者向けに「今さら聞けないブロックチェーン」として解説していきたいと思います。海外では既に様々なところで使われて初めているブロックチェーンの「基礎編」「応用編」「革新編」の3編でお届けしたいと思います。
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そもそもブロックチェーンって何?
最近、暗号通貨の投資を始めたんだけど、そもそもの仕組みも知らずに始めちゃったので、ちゃんと理解したいので教えて下さい。
いいですよ。ブロックチェーンは、これから投資以外でも知っておいた方が良い内容なので宜しくお願いしますね。
さっそくですが、ブロックチェーンって安全なんですか?私の中では、安全だから大丈夫ってことしか聞いてなかったんですけど・・・
新聞なんかでもブロックチェーンの言葉を耳にする機会も増えて来ましたよね。
ビットコインの基幹技術とかインターネットに次ぐ革新技術などとも評価されています。
ビットコインの基幹技術とかインターネットに次ぐ革新技術などとも評価されています。
すっごい仕組みの台帳っていうことくらいしか知らなくて、そもそも、台帳がスゴイからって何がスゴイんですか?
そうですね。会社で使っている「会計帳簿」や「住民基本台帳」と概念は変わりませんよ。一言で言えば「ノート」みたいなものですからね。
私もノートは授業で使うので結構持ってます。色を使い分けしてノートを取るのが好きなんですよ。
サチコさんのノートはカラフルなんですね。でもね、ブロックチェーンというノートは、サチコさんのノートとは根本的に違うところがあるんですよ。
えっ!なにっ・・・何が違うんですか?
それは、分散型ということです。ここにブロックチェーンの特徴があると思って下さい。
分散型って何ですか?
サチコさんのノートは、サチコさんが管理しているノートですよね。会社の帳簿や役所の台帳なんかも管理する人が決まっていますよね。
そうです。私のノートは、私だけのノートです。
しかし、ブロックチェーンというのは、特定の管理者というのが決まっていない台帳のことなんです。
誰かちゃんとした人が管理しているんじゃないんですか。
特定の管理者がいないってだけで、ちゃんと管理されているので、心配しなくても大丈夫ですよ。どのように管理するのかと言うと、みんなで管理しているんですよ。これを見て下さい。
例えば、AさんからBさんへ暗号通貨を送金するという取引があったとします。この時、取引に関わる全員が同時に取引情報を共有して管理するんですよ。
何か、よく見かけるインターネットの網みたな感じなんですね。
そうですね。誰が管理しているのかと言えば、ネットワークに繋がっている全員とということになりますかね。
まさに、インターネットで管理されていてグローバルって感じですね。使っている人も多そうな感じですよね。
今、このブロックチェーンの技術は色々な産業で使われようとしていて、2016年の時点では、市場規模で約67兆円くらいと発表されているんですよ。
ろっ…67兆円!?全然分かんないや・・・
日本の自動車産業が平成27年に68兆1730億円っていうデータがあるので、自動車産業と同じくらいの規模って考えたら、大きさのイメージ分かりやすいかもしれませんね。
なぜ、ブロックチェーンは革命的なのか?
これだけの規模ですからね。だから、ブロックチェーンが本格的に活用されてくると、国家の形や仕組みも変わってしまうという専門家も言るんですよ。
国の仕組みまで・・・一体、何故、そこまで革新的なものとか言われているんですか?
分かりやすいのが、現代社会において情報管理のほとんどが「ピラミッド形式の中央集権」の形で管理する方法が多かったんですよ。この図を見てみて下さい。
国家や会社って言うのは、信用や価値を担保するために、重要な情報なんかは一握りの人物や組織が管理する仕組みを採用していました。
ここで、ブロックチェーンが登場して、さっきのようにネットワークで管理することで変わるんですか?
そうですね。ネットワークの環境だと、全員が「管理者」になって「この台帳は正しい」判断してくれるんですよ。
ビットコインで、前に聞いたんですけどサトシ・ナカモトって人は誰なんですか?
正直ですね。サトシ・ナカモトっていう人が何者なのかっていうのは、今でも誰も分かっていないミステリーなんですよ。
私、ミステリー大好きなんで興味あります。
日本人なのか、外国人なのか・・・それとも個人なのかチームなのか・・・全てが謎なんですよね。こういう点もミステリー的な感じを出してますよね。しかし、サトシ・ナカモトからビットコインの論文がネット上に出てきた時には「第三者機関不在のオンライン取引」をすることが目的っていうことは記されていました。
それって、ブロックチェーンの取引は、さっき言ってたネットワークでオープンな状態で不特定多数の人が管理して、たえず誰かから監視されているって状態のことですよね。
ブロックチェーンの全員で監視する仕組みが、仮想通貨の信用を作っているから価値があるとされているんですね。仮想通貨という新しい金融のシステムが誕生したのもブロックチェーンがあったからだということです。
ブロックチェーンは、何を保存しているの?
ブロックチェーンのイメージは分かったんですけど・・・一体、何を保存しているんですか??
簡単に言うと「AさんがBさんへ0.5BTCを送金した」というデータがあったとしましょう。この時の取引記録のことを「トランザクション」って言うんですが、この記録データを大量に記録しているんですよ。
データを上書きするんじゃなくて、ずっと新しく保存していくんですか??
まず、自分の残高(A)としてこの1.5BTCをBさんに0.5BTCを送金したとしましょう。するとAさんの残高は1BTCになりますよね。
分かります。自分のお財布に1.5BTCあって、そこから0.5BTCだけをBさんに渡したってことですよね。
そうです。この時のAさんがBさんへ0.5BTCを送金したという取引の記録のことをトランザクションって言うんですよ。
ちなみに、このトランザクションっていう取引データがブロックチェーンに保存されるんですか?
そうです。ビットコインをはじめ仮想通貨そのもはデータでしかないので、実物の貨幣のように実体がありません。全ての取引内容はオンライン上で記録されます。
しかも、ビットコインって最初から発行される枚数が決まっているって聞いたんですけど、本当ですか?
はい!2100万枚って決まっていますよ。そして、取引が行われる時の証明であるトランザクションを行った人が発行されたビットコインを報酬として受け取れるんですよ。
えっ・・・いきなり難しくなったんだけど。ビットコインを報酬で受けとる・・・
図を使って解説していきましょうか。
分かりやすく言うと、取引した時のトランザクションデータが間違っていないかを検証するんですよ。この時にビットコインが報酬として発行されるですよ。
何か聞いたことあるような。たしか…マッ…
マイニングです。
そう!!それです。
マイニングっていうのは、ブロックチェーン上にトランザクションが正しく記録されたと時に、ビットコインが新規発行する行為のことをマイニングって呼んでいるんです。
ブロックチェーンで独自の通貨を作れる!?
サチコさん。ちなみに自分でも仮想通貨を作ることが出来るんですよ。
本当ですか。じゃあ、ひょっとしたら、それで儲かっちゃうってことも・・・
大儲け出来るかどうかは分かりませんが、プログラムとかの知識を身に付けなくてもスマートフォンのアプリから手軽に発行することができるんですよ。
スマホのアプリなんかで作れちゃうんですか?
そういう、独自で発行した仮想通貨のことをトークンって言うんですよ。日本語では代替紙幣とも言います。
そのトークンって簡単に作れるんですか?
作り方はいくつかあるんですが、もっとも簡単なトークン発行が出来ると言われているのが、IndieSquare Walletっていうアプリを使った方法ですね。
アプリをインストールして、指定されたところに少額のビットコインとカウンターパーティーっていう暗号通貨を送ればスグに発行することが可能になります。
発行したトークンって何に使うんですか?
使い方は自由です。人によってはファンクラブの中のポイント的なものとして会員の人に配ったり、遊びで作ってみる人もいますよ。
お金として使うだけじゃなくて、ポイントや記念にみたいな形でも使ったりしているんですね。
そうでうね。どういう形でトークンを発行しても、その後ろ盾にはブロックチェーンっていう仕組みがあるので、誰が何枚持っているとかは管理されるんですよ。
ブロックチェーンの「チェーン」とは?
ちなみに、ブロックチェーンの「チェーン」って鎖のことですよね?これってどういうものなんですか?
先ほど、説明したトランザクションがありますよね。
取引した時の取引記録のデータですよね。
そうです。そのトランザクションである取引記録がブロックの中に、一杯になるまで保管されていくんですよ。
ブロックの中にトランザクションが保存されていって、一杯になると、次のブロックが用意されて、また、新しいブロックにトランザクションが保存されていくんですよ。
なんか、段ボールに本とかノートをしまうみたいな感じに似てますね。箱がいっぱいになったら、次の箱に入れて行くみたいな。
そうですね。イメージは近いですね。箱が一杯になると、次の箱に入れていくんですが、箱同士がバラバラにならないように鎖で繋げてしまうんですよ。
こうやって見ると、本当に鎖でつないでいる感じに見えますね。この、ひとつひとつの箱の中にトランザクション(取引記録)が保管されているんですね。
そうです。さらに、不正をしようとして改ざんを試みたとしても、1つのブロックの中のデータは、ひとつ前のブロック情報とも繋がっているため、全てのブロックのデータを改ざんする必要があるんですよ。
1つのデータの書き換えをするには、すべてのデータを書き換えないと改ざんすることが出来ないってスゴイな・・・
全てのブロックを改ざん出来れば、不正は実質上、可能ということになりますが、1つのブロックを作るにも膨大な労力が必要とされているので、今のところ事実上、不可能とされています。
そういう話を聞くと、ブロックチェーンが安全って言われるのが少し分かったように感じがしますね。改ざんも出来ないんですよね?
ブロックチェーンには、いくつかのセキュリティの仕組みがありますが、最も、基本的な作業としてはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)っていうのがあります。
どんな作業をするんですか?
作業って言うのはコンピューターによる膨大な計算をするんですよ。この時の計算で特定の条件を満たすとハッシュ値っていう計算式の答えのようなものを見つける作業が行われるんですよ。
計算式って膨大で難しそうですよね。
たしかに、計算式は膨大ですね。この計算式でハッシュ値っていうのを見つける作業を皆で競うという一種の「クジ引き」のようなことを行うんですよ。
そのクジ引きに当選したらどうなるんですか?
クジ引きに当たった場合、新しいブロックを作る権利と報酬が与えられることになるんですよ。そして、不正していないか監視する必要があるので、ノード全員で不正はなかったのかをチェックしたりします。
全員でチェックしないとダメなんですね?
PoWという仕組みでは、他人のズルを見逃さない環境が構築されていて、競争と監視を行ってブロックチェーンの不正が出来ないように環境が構成されているんですよ。
なるほど、クジ引きでブロックを作る管理者を決めて、その管理者が不正をしないかを全員で監視する感じなんですね。
マイニングって何をしてて、何で儲かるの?
この作業でビットコインを手に入れるのをマイニングって言うんでしたよね。
実際に何かを掘りあてるわけではありませんが、まだ発行されていない未発効分のビットコインを報酬として得るために発掘に例えられてマイニングって呼ばれていて、掘り当てる人のことをマイナーって呼ぶんですよ。
なるほど、さっきの話を参考に考えると、コンピューターを使って膨大な計算をして、競争に勝てばマイナーになれて稼げるってことなんですね。
昔は、計算式が少なかったので、スマホのような機械でもマイニングが出来たのですが、計算が膨大になってくると、計算式の一番乗りを取るのがとても大変になるんですよ。
それだけ競争率が高いってことなんですね。
そうですね。マイニングをするにはどうしても凄いコンピューターがいるので、そのコンピューターを動かすには、高額の電気代が必要になるんですよね。だから、結果的に電気代が安い国や地域が有利になるんですよ。
ブロックチェーンの種類について
世の中には多くの仮想通貨が存在するように、ブロックチェーンにもいくつかの種類があるんですよ。
えっ??ブロックチェーンって1つじゃないんですか?
大きく分けるとパブリックチェーン・プレイべートチェーン・コンソーシアムチェーンといった感じで3種類に分かれますね。まずは、パブリックチェーンから解説していきましょうか。
なるほど、パブリックチェーンは特定の管理者がいなくて、不特定多数で合意が出来るような仕組みになっているんですね。
パブリックチェーンの場合、ユーザー名やパスワードなどを入力しなくても利用できるようになっていまして、ネットワークの参加者が合意に至るための厳格な決まりごとを課しているのも特徴です。
プライベートチェーンって言うのはどんな感じなんですか?
プライベートチェーンというのは、パブリックチェーンとは対照的に管理者が存在しているのが特徴です。管理者の許可を得て初めてネットワークに参加することが出来るシステムです。
たしかに、パブリックチェーンとは違って特定の管理者がいて、主に金融機関などで活用されているんですね。
そうですね。選ばれた人だけが参加できる形式だから、ネットワークを維持するための決まりごとも少ないんですよね。パブリック型と管理者が決まっているのでスムーズに合意形成が取れるんですよ。最後のコンソーシアムチェーンについても話しておきましょうか。
コンソーシアムチェーンって言うのは、さっきのプライベートチェーンと比べても少し似ている感じがしますね。
そうですね。コンソーシアムって言うのは共同事業体って意味があるので、複数の機関や会社がパートナーシップを組んで管理するブロックチェーンと言えますね。
どういう所でコンソーシアムチェーンって使われているんですか?
例えば、複数の会社で構成された銀行・保険・貿易などの団体でグローバル決済処理を行う機関などで活用されていますね。
ブロックチェーンを導入するメリットは?
これまで教えてもらった3タイプのブロックチェーンを導入するメリットってどんなところにあるんですか?
端的に言えばコスト削減ですね。たとえば、これまで銀行の国際送金とか、海を渡ってお金を送金するときに多くのコストが掛かっていました。
たしか、海外送金するのに凄く送金手数料が取られるって聞いたことがありますよね。
従来の国際送金は、中間コストや間接的な費用に加え、送金から着金まで多くの時間が必要でした。しかし、ブロックチェーンを活用すると中継銀行が不要になって、即座に送金から着金が可能になります。
銀行から見たらコストの大幅な削減になって、依頼者から見たら、安い手数料と時間短縮で送金を行うことが出来きますよね。
更に、セキュリティの高さでもメリットがあります。特定機関だけがデータを扱う中央集権型の管理とは違って、分散管理ができるブロックチェーンでは、局所的なサイバー攻撃を心配しなくても良いんですよ。
ブロックチェーンでコスト削減も出来て、セキュリティそのものも高いって言うのが分かりましたけど、反対にデメリットみたいなものはあるんですか?
ブロックチェーンのデメリットは?
大きな懸念材料とされているのは容量の問題ですね。ブロックチェーンは取引データを保存し続ける一方で、データを削減したり変更したりすることが出来ません。
それって、ブロックチェーンが使われる限り、ずっとデータ量も増え続けて行くってことですか?
そうですね。データを保存するストレージの容量は、ネットワークを築く不特定多数のコンピューター1台1台が担っているんですが、データが巨大化して容量を超えてしまうという可能性もあります。
ほかには、どんな可能性があるんですか?
あとは、BTC51%攻撃(51%attack)ですね。これは悪意あるマイナーがネットワーク上の51%である過半数を占めてしまうと、マイニングの合意は独占されて不正な取引が行えてしまう可能性が出るってことです。
その他のブロックチェーンの魅力
近年、ブロックの容量拡大・拡張が積極的に議論されていて、ビットコイン・ブロックチェーンとは異なる独自のブロックチェーンも誕生してきているんですよ。
ビットコインのブロックチェーンとは違ったブロックチェーンって言うのがあるんですか?ビットコイン以外の仮想通貨のことですか?
そうですね。有名なところ言えばイーサリアムに搭載さているスマートコントラクトって言うのは画期的で面白いブロックチェーンですよ。
このスマートコントラクトっていうのは、取引記録と一緒に契約内容とかありますけど、どういうブロックチェーンなんですか?
良いところに気付きましたね。スマートコントラクトと言うのは、ビットコインでは出来ない支払いをして取引すると同時に、契約の履行が出来るんですよ。
契約の履行って?具体的にどんなことが出来るんですか?
スマートコントラクトの仕組みを簡単なイメージで例えると、自動販売機みたいな感じだと思ってもらうと分かりやすいと思いますよ。自動販売機っていうのは、お金を入れてボタンを押すとジュースが出てきますよね。
自動販売機にお金を入れたのが取引記録で、ジュースが出てくるのが契約の履行のような感じですか?
そうですね。実際にはジュースのやり取りとかではなく、スマートコントラクトっていう仕組みを使って、不動産の取引や偽ブランドの防止などに使われていますよ。
へぇ~なんか凄そうですね。
スマートコントラクトっていうのは、ブロックチェーン上に取引内容をプログラミングしておくことで、仲介者なしに自動で契約を成立させることができるんですよ。
たしかに・・・話を聞いていると色々な可能性がありそうな感じがしますよね。
そうですよね。これらのテクノロジーは、今後の第4次産業革命を加速させるとも言われているんですよ。IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)っていうのも、スマートコントラクトを上手く使うと凄いイノベーションが誕生しそうですよね
IoTは知ってますよ。身の回りのあらゆるモノをインターネットにつながって、自動車・交通機関・物流・医療・農業やいろいろなところに活用されるんですよね。
これからブロックチェーンと色々なテクノロジーと組み合わさって行くと色々なサービスが生まれてきそうですよね。また、今度、このスマートコントラクトについては、お話していきたいと思います。
今日は、ブロックチェーンの基礎が知れて良かったです。また、次回よろしくお願いしますね。
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