SUAVE AI Works

電話受付にも、AIという選択肢。SUAVE AI Phoneでつくる、用件が届く仕組み

商品の出荷を進めているとき、お客様への返信を考えているとき、新しい企画に取り組んでいるとき。事業を営んでいると、さまざまな仕事の途中に電話がかかってきます。

電話は、お客様や取引先とつながる大切な入口です。その入口を支える仕組みがあれば、担当者は用件を把握してから、必要な確認や対応に向かえます。

インテリアSUAVEでは、電話の一次受付をAIが担う「SUAVE AI Phone」を開発しています。日本語の音声会話で名前・用件・折り返し先を確認し、通話後に要約と会話ログをメールで届ける仕組みです。

今回は、現在の実装と開発の過程をもとに、どのように電話受付を組み立てているかを紹介します。新たな本番通話テストの結果や、効果測定の報告ではありません。

電話の用件を、担当者が動ける記録にする

SUAVE AI Phoneの流れは、電話を受けるところから始まります。最初に数字キーで受付区分を選んでもらい、その区分に合わせてAIが会話を進めます。

通話が終わると、文字起こしを整理して受付記録を作り、担当者にメールで通知します。担当者は内容を確認し、必要な情報を調べたうえで、折り返しなどの対応を行います。

目指しているのは、「誰から、どのような連絡があり、どこへ返事をすればよいか」が分かる状態です。電話で聞いた内容が次の仕事につながるところまでを、一つの流れとして設計しています。

お客様からの電話をAIが一次受付し、通話後の要約と会話ログをメールで担当者に引き継ぐ流れ

仕組みの裏側では、Twilioが電話の入口と音声の送受信を担い、Railwayで動く受付サーバーを介してOpenAI Realtime APIにつないでいます。通話後の記録はGoogle Apps Scriptを経由し、Gmailで通知する構成です。

こうしたサービスを組み合わせ、電話を受けてから情報を届けるまでの流れを、自社の受付に合わせて作っています。

最初の入口を4つに分ける

電話の目的は、お客様の商品相談だけとは限りません。注文後の問い合わせもあれば、配送業者や取引先からの連絡もあります。そこで、入口を次の4区分に分けています。

  • 1:注文済みのお客様 — 名前、用件、折り返し番号を確認
  • 2:まだ注文していないお客様 — 名前、用件、折り返し番号を確認
  • 3:配送業者・取引先 — 会社名、名前、用件、折り返し番号を確認
  • 4:その他 — まず用件を聞き、内容に応じて対応

最初の振り分けは、電話の数字キーを押してもらう方式です。選択された区分をAIに渡し、それに合った質問から会話を始める実装にしています。キー入力がない場合や対象外の数字の場合は、「その他」に進みます。

電話の数字キー1から4で、注文済みのお客様、未注文のお客様、配送業者・取引先、その他に分かれる受付区分

注文前と注文後では、基本的に聞く項目は同じです。それでも受付時点で区分を残しておくことで、担当者がメールを開いたときに、どのような立場の方からの連絡かを把握しやすくなります。

長く聞くより、必要なことを短く聞く

受付で多くの情報を集めようとすると、会話が長くなりがちです。そこで、お客様への質問は「名前・用件・折り返し番号」を基本にしています。

用件を一度聞いたら、細かい追加質問を重ねず、折り返し先の確認に進むよう接客ルールを設定しています。注文番号や商品名などを相手から伝えていただいた場合は、その情報を記録に残す方針です。

折り返し番号も、毎回すべての数字を読み上げてもらう設計にはしていません。発信元の番号をもとに「現在おかけいただいている番号への折り返しでよろしいでしょうか」と確認し、別の番号を希望する場合に聞き取ります。

また、名前などの聞き直しは原則1回までとし、訂正があった場合は最後に伝えられた内容を採用するよう指示しています。最初の自動音声で伝えた店名や案内を、AIが重ねて繰り返さないことも、会話を短くする工夫の一つです。

これらはAIに与えている受付ルールです。聞き取りや訂正の反映が実際にうまくいくかは、通話を通じて確かめ、調整していく必要があります。

営業の案内と、大切な連絡の扱いを決めておく

「その他」に入った電話が新規の営業案内だと分かった場合は、Webサイトのお問い合わせフォームを案内するルールにしています。その際、担当者からの折り返しを約束しないよう設定しています。

一方、既存の取引先や進行中の案件に関する連絡なのか曖昧な場合は、確認してから対応を分けます。受付の段階でどんな案内をするかも、事業の実情に合わせて決めています。

また、配送事故や紛失、重大な破損、現地で回答を待つ配送業者からの連絡などは、記録上で「重要」と整理する設定です。現在進行中の発煙・発火・感電などは「緊急」と整理し、メールの件名にも重要度を表示する実装にしています。

ただし、AIの分類には誤りが生じる可能性があり、メール通知が担当者の即時対応を保証するものでもありません。この受付は緊急通報の代わりにはなりません。人が記録を確認し、対応を判断する前提で運用することが大切です。

メールで受け取るのは、要約と元の会話

担当者に届く通知には、受付区分、氏名、折り返し番号、問い合わせ内容に加え、会話で得られた会社名や注文番号などを整理する構成にしています。重要度、折り返しの要否、営業電話に該当するかも記録項目です。

さらに、日本語で2〜5行程度の要約と、お客様とAIの会話ログを載せます。まず短い要約で全体をつかみ、詳しく確認したい部分は文字起こしに戻れる形です。発信元や通話時間など、通話を識別するための情報も付けています。

要約処理が失敗した場合には、取得できた文字起こしから簡易記録を作る処理も用意しています。ただし、それだけですべての通知漏れを防げるわけではないため、通知経路も確認が必要です。

なお、現在のコードには通話音声ファイルを保存する機能はありません。通知するのは文字起こしと要約です。記録には氏名や電話番号などが含まれるため、閲覧できる担当者や保存期間などの管理も、受付の運用と合わせて考える必要があります。

接続するところから、受付として使う形へ

開発は、最初から今の形だったわけではありません。固定の日本語メッセージを流す接続確認から始め、電話の音声をサーバーで受け取り、AIとの双方向の音声会話へと進めてきました。

その後、通話後のメール通知を追加し、名前の聞き直し方や営業電話への案内、折り返し先の伝え方を調整しています。受付ルールは独立したテキストファイルで管理し、改善しやすい形にしています。

相手が話し始めたときにAIの音声再生を止める処理や、案内の速度・間の調整も、その一部です。最後には「このままお電話をお切りいただいて結構です」と伝え、相手が電話を切るのを待つ方式にしています。

音声がつながることに加え、相手が答えやすいか、長く待たせないか、いつ会話が終わるかが分かるか。そうした受付としての使いやすさを、一つずつ整えています。

AIの受付を、人が対応する仕事につなげる

現在のSUAVE AI Phoneの担当範囲は、一次受付と担当者への引き継ぎです。注文管理や在庫データベースとは連携しておらず、在庫、納期、配送状況、返品可否などをその場で確定回答する機能はありません。自動で折り返し電話をかける機能や、現在のコードで携帯電話へ転送する機能もありません。

受け付けた用件をもとに、担当者が必要な確認を行い、お客様に返事をする。その役割分担を土台にしています。

小規模な事業では、一人がいくつもの役割を担います。電話の入口を仕組みとして整えることは、担当者が情報を持って対応に向かい、ほかの仕事や新しい取り組みにも力を注ぐための土台になります。

SUAVE AI Worksでは、こうした自社の事業での開発を通じて、AIを現場の仕事につなぐ方法を考えています。どんな用件が多いのか、受付で何を聞くのか、誰にどう引き継ぐのか。身近な仕事の流れから、AIで広がる可能性を形にしていきます。